橋本裕の日記
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今年、我が家の軒先に足長蜂が巣を作った。あまり嬉しくない客人だが、仕方なくそのまま容認した。足長蜂はこちらから手出しをしなければ、まず攻撃してくることはない。そのかわり、下手の手を出すと、集団で襲いかかってくる。
軒先の巣はかなり立派なもので、大勢の蜂たちがいそがしく出入りしている。巣の中には蜂の子が丈夫に育っているようだった。ところが数日前に、この立派な蜂の巣が、別の蜂に襲われて壊滅してしまった。
私は学校で家にいなかったが、妻がその一部始終を目撃していた。妻の話によると、足長蜂の巣を襲ったのは、たった一匹の熊蜂(くまんばち)のようである。熊蜂がどういうものか、私は余り詳しくないのだが、雀蜂よりいくらか大ききくて色が黒いのだという。
熊蜂の襲撃に、足長蜂はまるで応戦しなかったようだ。私たちが手を出すと集団で襲いかかってくる足長蜂が、まるで抵抗しないのは不思議である。いくら獰猛な熊蜂といえども、集団で襲いかかられたらたまらないだろう。なにしろ多勢に無勢である。
しかし、結局は無抵抗のまま巣を離れ、巣の中の蜂の子はすべて食べ尽くされてしまった。襲われた蜂の巣に今は一匹も蜂の姿はない。あんなに賑やかだった庭にも蜂の姿はなく、ただ軒先に蜂の巣の廃墟が淋しく残されているだけだ。
それを眺めながら、私は、「何という意気地のない奴らだろう。どうして力を合わせて熊蜂を撃退しなかったのだ」などと考える。鬱陶しい蜂たちがいなくなって、熊蜂に感謝してもいいのだが、取り残された空き家の蜂の巣を眺めていると、敗れ去った足長蜂たちが哀れに思われる。
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