橋本裕の日記
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| 2001年10月06日(土) |
賃金闘争がもたらしたもの |
日本の国民一人あたりのGDPは約3万ドルである。これはG7先進国の中でも、アメリカについで高水準である。ちなみにドイツが2万9千ドル、フランスが2万5千ドル、イギリスが約2万4千ドルである。参考までに主要国の数値をあげておこう。
〜国民一人あたりのGDP(千ドル)〜
日本 30.0 シンガポール 21.6 韓国 7.0 中国 0.6 インド 0.4 アメリカ 31.5 イギリス 23.6 ドイツ 28.8 フランス 24.6 ロシア 1.9 オーストラリア 19.4
それでは日本の賃金はどのくらいの水準にあるのだろうか。日本の財界は「日本の賃金は世界のトップクラスだ」と主張しており、私も漠然と日本人は世界一の高給取りだと思っていたが、政府が出資する「日本労働研究機構」の「国際労働比較2001」の1998年の統計を見ると、これが思ったほど高くはないことがわかる。
「時間あたりの賃金」は、為替レートで比較して、日本を100とすると、アメリカ102、イギリス78、旧西ドイツ地域は144,フランス108である。G7先進国ではイギリスくらいしか日本の下位にはない。これではとくに日本が高賃金だとは言えない。
これを生活の実態に合わせるために、購買力平価で比較してみよう。この場合は日本を100とすると、アメリカ143、イギリス89、旧西ドイツ地域は173,フランス128になる。
さらに日本の場合は統計にあらわれない「サービス残業」による無報酬労働の問題がある。単位時間あたりの報酬でみるかぎり、日本は先進国の中ではむしろ低賃金の部類だと言ってもよい。
日本労働研究機構も「生活の原資という意味での賃金は国際的にみてまだ低い水準である」と書いている。日本の労組はこれまで「賃金闘争」に熱心だった。しかし結果として、労働時間の短縮を求めてきたヨーロッパ諸国の方が、この面でも成果を上げている。
これは日本の長時間労働を前提にした労働生産性に問題があるということだろう。これからはGDPの数値に惑わされないで、もっと生活の実質を考えて労働環境を改善するべきだろう。単なる賃金闘争は、結局物価の高騰をもたらすだけで、実質的な高賃金をもたらすことはない。
(参考サイト) 「FPWCリタイア後の海外暮らし」 http://www.fpwc.co.jp/index.html 「国際労働比較2001」 http://www.jil.go.jp/statis/databook/kokusaicontent.htm
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