罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
| 2002年07月20日(土) |
Phantom pain |
ヒトのココロを得る為にその身を捧げろと言うならば 果実は喜んで胚芽に捧げましょう
僕に涙は無い 彼女に笑顔は無い 彼に平穏は無く 彼に感情は無い 彼女の身体は無く 彼の居場所も無い 彼に貞操など無く 彼は死の本能しか無い そして彼は眠る事も許されない
一つのモノが分かたれたのだから 足りなくないはずが無い
足らなくして感じないようにしなくては 堪えられないほど弱弱しかった
誰にも気付かれないように 誰かに気付いて欲しかった自分を認められなくて 自分の弱さを認めたくなくて
分かたれて弱くなったはずの僕を ヒトは強いと言ったよ 僕らの思惑通りに 哀しいくらいに
自分自身を形作る罅を見つめる度に 自分に足りない傷を見つめる度に 感じないはずの痛みが僕を苛む
流れない涙の代わりに 乾いた笑いをこぼして 感じないはずの痛みが あるはずの無い傷痕が
笑っていた 笑うしかなかった 笑う事しか知らなかった 本当はここで涙がこみ上げて来るんだろう?
知っているよ 痛みが教えてくれるから ヒトの真似事ばかりで ヒトになりきれない痛みが 超えきれない痛みの罅が 教えてくれるから
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