J (3.秘密の恋愛)
11. 一夜の夢 (28)
・・
(わかった、よ、。。)
もう私にはそれ以上言う言葉がありませんでした。 私はただただ悲しくなりました。 悲しくって悲しくってしかたがなくなりました。
先ほどの哀しさとは違う、悲しさでした。 身勝手な愛情に先走りレイを抱こうとした、 自分の愚かさが私を悲しくさせました。
愛していながらも何度も躊躇ったレイ。 再三にダメ、やめて、と私を押し止めようとしたレイ。 愛切羽詰っても最後まで抵抗をこころみたレイ。
そのレイの心中には、 こうした現実の哀しい想いがあってのことだったのだ。 愚かにもそれを私は気づけなかった。
いや、気づけなかったのではない。 正気を失っていたのだ。 私は私を失い、愛するからレイを抱くのではなく、 おのれの肉欲を満たすのみにレイを抱こうとしていたのだ。
愛してくれるなら、やめて、、 愛しているのに、やめる、、
じゃなくて。 愛しているからこそ、やめる、、のだろう。
いくら愛していても結ばれてはならないこともある。 俺は、肉欲によりてレイを抱くのじゃないのだから。
年若いレイに諭されて、 やっとそれを知る俺の愚かさ。 この男、なんと哀れな男であることよ・・。
|