J (3.秘密の恋愛)
9. これからのこと (13)
「レイ、ちゃん、?」
ふっと背後から呼ばれた自分の名前。 まさか、と振り返るとそこにはレイ。
「いったい、どうしたんだよ、探したじゃないか、、?」
泣いた子どもがあやされて笑った顔のように、 私の表情は途端に明るくなる。 まるで、いないないばぁ〜だな、これじゃ。
「ごめんなさい、工藤さん、私、、、」
レイは神妙な顔。 小さく肩を震わせて。 そんなレイを私は愛しくて。
「ん、、うん、。戻ってきてくれてありがとう。 このまま僕たちは終わりなのかなって思ったら、 僕は、とても哀しい気持ちになってしまったよ。」 「このまま、終わり、、?」
私はつい思ったままのことを言ってしまいました。 言ってすぐにおかしなことを言ってしまったと気がつきましたが。
「あっと、。その言い方は正しくないね。 僕たちは始まってもいないのに、終わるなんて。」
そう言うとレイは下を向き哀しげな表情をしました。
「いや、なんと言うか、その、、そうだなぁ、。 言うなればひとつの恋物語の終わりかな、なんて、、。」
私は冗談めいてそう言って微笑み、その場を取り繕いましたが、 レイは今度は顔を上げて苦しげな表情をしました。
私は。 私はこの際思っているままに伝えよう、そう思いました。 私の立場がどうであっても、この状況でレイを納得させるには、 そうするよりないと私には思われたのです。
「あのね。レイちゃん。僕は君のこと、想ってるよ。」 「、、、。」
「君の気持ち、考えているよ。」 「、、、。」
「君を引き止めたい、そう思っているよ。」 「、、、なら、」
レイの表情は真剣でした。 真剣に次の私の言葉を待っていました。 だが、そのレイの真剣さが私にまた心のブレーキを掛ける。 これ以上、私とレイが近づくことのないように。。(参照こちら)
「でもね、」
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