J (3.秘密の恋愛)
8. 誤解 (20)
私はタクシーの座席に深く座り目を閉じる。 まざまざと思い出す、あの夜の会話。(参照こちら)
>でも、これから始まる運命もあるんじゃないかしら。
ああ、、これから始まる運命、、! もしかしたら、レイは、、? いや、だが、君は言ったじゃないか!
>そうだとしても何も変わらないの、分かってた。
って、、。(参照こちら)
、、。
そうだね。 あのときの話はあれで途切れてしまった。 僕と君はあれ以来、その話をしていない。
僕はただ、すまなかった、と言い、 君はひと言、すまないことなどない、と言った。 それっきりだ。
僕は自分の世界の中で、過去の話として決め付けて、 君に3年前の気持ちを告白してしまったことに後悔し、 その後はその感情を心の奥底に封印しようと躍起になっていた。
僕は君の今の気持ちを一切考えることがなかった。 当然に君は過去の思い出として語ったものだと思っていた。
なのに! これから始まる運命を信じたい、、だと、、!
もしかして、君は、、。
だ、だが、。 それは、ない。 僕と君とには、これから始まる運命などないんだ。
そんなことを考えちゃならないんだよ。
・・
やがて、タクシーは駅に着く。 夏の日差しがきつく私を照らす。
私は大きくため息をつき、太陽を見上げる。 そしてかぶりを振って駅舎へと向かう。
仕事、だ。 仕事をしよう。
と呟きながら。。
(8. 誤解、の項 終わり)
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