J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年11月09日(火)    僕と君とには、これから始まる運命などないんだ。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (20)


私はタクシーの座席に深く座り目を閉じる。
まざまざと思い出す、あの夜の会話。(参照こちら

>でも、これから始まる運命もあるんじゃないかしら。

ああ、、これから始まる運命、、!
もしかしたら、レイは、、?
いや、だが、君は言ったじゃないか!

>そうだとしても何も変わらないの、分かってた。

って、、。(参照こちら


、、。

そうだね。
あのときの話はあれで途切れてしまった。
僕と君はあれ以来、その話をしていない。

僕はただ、すまなかった、と言い、
君はひと言、すまないことなどない、と言った。
それっきりだ。

僕は自分の世界の中で、過去の話として決め付けて、
君に3年前の気持ちを告白してしまったことに後悔し、
その後はその感情を心の奥底に封印しようと躍起になっていた。

僕は君の今の気持ちを一切考えることがなかった。
当然に君は過去の思い出として語ったものだと思っていた。

なのに!
これから始まる運命を信じたい、、だと、、!

もしかして、君は、、。


だ、だが、。
それは、ない。
僕と君とには、これから始まる運命などないんだ。

そんなことを考えちゃならないんだよ。

・・

やがて、タクシーは駅に着く。
夏の日差しがきつく私を照らす。

私は大きくため息をつき、太陽を見上げる。
そしてかぶりを振って駅舎へと向かう。

仕事、だ。
仕事をしよう。

と呟きながら。。


(8. 誤解、の項 終わり)


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