J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年11月06日(土)    工藤さんは、、何にも分かってない、、、。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (18)


しかし、、。
レイの彼氏は来ていないって、、。

いくらか、ほっとしたような、いくらか、拍子抜けしたような、
不安定な安定感が私の心に広がる。

そしてその安定感はすぐに揺るぐ。


なら私はどうなる?
誤解をされたまま、じゃないのか?

レイは自分の彼氏のことをお父さんに知らせていない。
お父さんは私が結婚していることを知らない。
となると、私が、そういうふうに見られかねない。

レイの母の臨終の夜、車でレイを送ってきた男。
いくら上司だからと言って、普通、そこまでするか、。

レイに対する恋愛の情があったからこそ、私はレイを自宅まで送ったのだ。(参照こちら
そのことを悟られてはいるのではないか。
そして、そのために、誤解が生じているのではないか。

それは、まずい、だろ、レイちゃんよ。。


「レイちゃん、あのさ、」、、、また、“あのさ”、だ!
「?」、、、レイは今度は硬い表情で。

「このままでは誤解されてしまう、。
 お父さんに僕のことははっきりと伝えておいてほしい。
 ただの君の上司、だってね。そして、結婚してるって。」

「それは、、。そんなこと、工藤さんの思い過ごしです。
 誰も誤解なんてしていない、、。
 かえってそんなふうに強調するのもヘンじゃないかしら。」

レイはこの時ばかりは語気を強めて言いました。
私はその剣幕に少し押されてトーンダウンして、、。

「強調することはない、ただ、万が一、って思うから、
 さりげなく言ってくれるとありがたい、ってことさ。」

「万が一、って、何のことか、分からないわ。
 万が一、があったって、私は構わないんだもの。」


万が一、があったって構わない、って?
何を君は言ってるんだ?

「あのね、レイちゃん、僕も君が何を言っているのか、分からないよ。
 万が一、君が誤解されたら。君が困るだろうに、、。」

それを聞いて、レイはきつく私を見つめて。

「、、、。工藤さんは、、。」
「何?」
「工藤さんは、、何にも分かってない、、、。」
「何にも、?」

「そう、、。私の気持ち、何にも分かってないんだわ。」


私の気持ち、って、、!?


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