6. 個人的な話 (9)
「やめとけって、。」 不服そうなレイの顔。何を急に、という声色で。
「いいかい。君はこれから実家に帰ったほうがいい。 大したことがなくても入院は入院だ。」 「これから、!」 「そうだよ、こういう時はすぐに顔を見せてやるといい。 たとえ大したことがなくても、病人はうれしいものだよ、。 まして普段離れて暮らす娘が駆けつけた、それだけで元気が出る。」 「でも、この時間じゃ。それに明日も仕事ですし。」 「仕事はなんとかなる。心配するな。」
レイはどうしようかと考えていました。 私は考えている暇があったら次の行動をとるべきだ、 と思いすぐに席を立ちました。
「じゃ、行こう、俺が駅まで送ってやる。」
私は会社の車のキーを持ってレイに言う。
レイはどうしたものかという顔をしましたが、 私はそんなレイにお構いなしに、 「外で待っているから、すぐ準備してくるんだよ。」といい表に出ました。
、、実は私はレイを実家まで送ってやろう、そう決心していたのです。
・・
レイの実家は特急で1時間半くらいにありました。 ただし、最寄の駅からバスでまた30分くらいかかります。 田んぼの広がる海沿いの村でした。
家族は祖父母、両親、姉、弟。 レイは次女として育ったのです。
お姉さんは既に嫁いでおり、弟は当時まだ高校生でした。 レイの実家には姉以外の家族が同居しており、 その中心にいるレイの母が入院したということでした。
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