J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年03月18日(木)    う、うそだ。そんなことを俺が言うわけが、!。

J (3.秘密の恋愛)

4. 無常 (18)


一呼吸の後、レイは自分を確かめるようにうんと頷いてから、
「そして、」と言いました。

次の言葉を待っていた私は「そして?」と聞き返す。

「そして、。工藤さんは言ったの。
 本当は君みたいな子と先に知り合いたかった、って。」




う、うそだ。そんなことを俺が言うわけが、!。

だが、、、。酔っていた。
もしや言ってしまったかもしれない。
な、何という罪作りなことを。

「工藤さん?」レイは甘えたような声で私に返事を求める。
私は辛うじて「そうか、、、。」と言う。

私は煙草に手を伸ばし、考え込むように一服つけて。
しかし言葉は見つからない。

レイが続ける。
「私は信じたかった。たとえ工藤さんが酔って言った言葉でも。」
「そうか。」
「だけど、そうだとしても何も変わらないの、分かってた。」
「そうか。」
「でも。うれしかったのよ。とっても。」
「そうか。」
「そうか、そうかって、もう、、、。思い出せましたか、この話。」
「あ、ああ、うん、、、。」

「憶えていらっしゃらないのね。」
「い、や、なんというか、すまない、っていう気持ちでいっぱいになってしまって、。」
「、、、。」


・・

それは僕の本心だ。レイちゃん。
僕は君が好きなんだ。
その時言った言葉にうそはなかった。
君と先に知り合いたかった、それは今でもそう思うよ。

だけどね。
それを肯定したらいけないんだ。
何でか分からないが、いけないんだよ。

僕には友美さんがいる。
僕は友美さんを幸せにするために生きているんだ。
そう決めたんだよ。

だから。


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