J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年07月28日(月)    4月のその日は季節外れの雪が降っていました。

J (2.結婚)

14. 生と死 (4)


しかし、、、。


4月のその日は季節外れの雪が降っていました。

父の病状は良いとも悪いともなく変化のない状態が続いていたその日でした。

私は普通に会社に出勤し平常通り営業に出ていました。

危篤、という訳でもなく、つまり病院に詰めている理由もないので、
母も私もいつも通りの時間に面会にいく予定でした。

特別にその日がその日である理由は何一つない、そんなその日でした。




雪か、、、。


私は営業先でどんよりとした雪の空を見上げ、ふと不安に襲われた、その頃。


父は亡くなりました。


生まれてくる孫の顔も見ずに、、、。




会社から営業先にすぐに病院へ行けと連絡が入りました。
私はその足で病院に直行しました。
病室に着いた時、医師は心臓マッサージを止めました。

私が着くまで臨終を待っていてくれた、そんな優しさの好意でした。


母は、「純一、先生にお礼を言い、」とだけ言って黙りました。

私は医師に、「ありがとうございました、」と言いそして黙りました。

父は静かに眠っているようでした。


窓の外は雪。


・・

さてと。
悲しんではいられない。


葬式出さないと。

親戚に連絡しないと。

会社にも。

友美さんの実家にも。


友美さん、、、。

生まれてくる子ども、、、。


友美さんと生まれてくる子どもについて考えが及んだ時に、
私の目から涙がつっと溢れそうになりました。


が私は堪えた。

ぐっと、堪えた。



そして、その涙を飲み込んで、火の粉が飛ぶような雄叫びを上げた。


おおおおおおっっっ・・・・・・・・・・・



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