J (2.結婚)
11. 変貌 (11)
私は無性に腹が立ってしまいました。
何だってそんなことをいきなり言うんだ! オレにだって!、オレにだって!、オレにだって!、 オレにだって心の準備ってものがあるんだよ!
「そうか、どんな奴なんだ、そいつ、」 「どんな奴って、」 「だからどんな奴っていうのはね、どういう仕事していて、とか、 どこに住んでいてとか、だからどこのどいつなんだってこと。」 「それは、、、」
レイは私の剣幕に押され口篭もりました。 どうして工藤さんは怒ったような口振りで聞くんですか? そんな表情でもありました。
「だめだ。結婚はだめだぞ。まだ3年経っていない。 君はオレと約束したはずだ。3年は頑張るって。」 「でも、恋愛は自由だとも言いました。」 「ああ言えばこう言う、、、。ああ、確かに言ったよ。で?」 「いえ。それだけです。」 「じゃ、この話はもうこれでいい。つまり、君には恋人ができた。 そういうふうにオレが思っとけばいいんだろ。わかったよ。」
私はすっと立ち上がりました。
だいたい、オレは仕事中になんて話してんだ。まったく。
「仕事に戻るぞ。レイちゃん、」
・・
私とレイは会議室を出て自席に戻りました。
部長がチラっと私を見、私は軽く二・三回頷きました。 (キチンと話しましたから)というように。
そうだ。指輪。
レイは?
、、、レイの右手の薬指には既に指輪はない。
それを見て私もそっと左手の指輪を外しました。
そして、、、
くそ、っとばかりに無造作にポケットへ突っ込みました。
ごめん、、、
トモミさん、、、
(11.変貌、の項 終わり)
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