J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年03月10日(月)    くっ、そ〜。こんなことで負けてたまるか!

J (2.結婚)

4. 二次会 (15)


結果は、、、当然、私が一位でした。

幹事の都築が間髪入れず声を張り上げます。

「さすがは、純、お見事!」

会場内はさらに大いに盛り上がりました。



一呼吸おいて都築が話します。
「さ、ここで新婦の友美ちゃんにひとこと貰いましょう、」

都築はマイクを持って友美さんの座るテーブルに出向きます。
「どうですか?今の純の飲みっぷりは?、」

友美さんは、ニコっとして、
「ハイ、すごくカッコイイです。」と答えました。

「ますます好きになっちゃう?、」
「ハイ、」
「じゃ、決勝戦も大丈夫かな?」
「ええ、たぶん、、、でも、みなさんお強そうだから、、、」

友美さんはいつものように救いを求めるような表情で私を見ました。

私はウインクしながらVサインを送りました。(大丈夫だよ、きっと勝つ、)



都築は話を続けました。
「じゃさ、純が決勝戦で勝ったら、ほっぺにchuっとしてやってね!」

友美さんはちょっと困ったような表情をしましたが、
都築はその返事を待たずにステージに戻ってきてしまいました。

「では、いよいよ決勝戦を始めますよ、いいですか?
 新郎純一君は新婦友美ちゃんのキスを勝ち取れるか!ワクワクしますね!」



決勝戦には5人が残っていました。

私、鏑木さん、高校時代と大学時代の私の友人が一人づつ、
そしてあのオトコ、長谷部健二。



こんな時、、、私だったら今日の主役に花を持たせます。

八百長をする、そういうわけではないのですが、あうんの呼吸でそうします。
何もこんなことで新郎に勝ったって仕方ないですし。
新郎が勝って新婦からキスのプレゼント、その方が会として盛り上がります。

私の友人や鏑木さんからは何となくそんな雰囲気が伝わってきました。
(お前に勝たせてやるよ、)
そういう雰囲気がなんとなく、伝わってきた。


しかし、あのオトコからはその雰囲気が伝わってきませんでした。

勝負。そんな雰囲気です。


こいつ!


実は、、、もう私はいっぱいいっぱいでした。
さっきの一杯でかなり腹が膨れていました。
あのオトコと差しで勝負すると勝てないかもしれません。


くっ、そ〜。
こんなことで負けてたまるか!

、、、

「タイム、」私は咄嗟にタイムをかけました。

「どうしたの?、純、」都築が聞きました。
「ちょっと、トイレ、すまん、」と私。

私は余裕綽々とした様子でトイレに入りました。
そしてあたりに人がいないことを確かめてから、口に指を突っ込んで、
私は胃の中のものを全て吐きました。(キタナイ話ですみません)

私は幾分か持ち直しました。


よおし、これで少しはイケルぜ!

(バカですね、ホント。)



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