J (2.結婚)
4. 二次会 (9)
友美さんは私が初めてでした。
聞いたわけではありません。
ただ、確かにその時その徴しがありました。
私が初めて友美さんを抱いた夜、それは花火の夜でした。 結婚までは身体を許したくない、そういうふうであった彼女を、 私はそうなるべくしてなるような状況の中で抱いたのでした。
確かに、、、 その時その徴しがありました。
私は彼女に毛布を掛けてやりました。 彼女は、、、「ありがとう、」とひとこと言いました。
その晩私と友美さんはSEXを楽しむために結ばれたのではありません。
私たちは力が欲しかったのです。 心と身体がひとつになった時、お互いが溶け合ってひとつの力になる。 私はそのために彼女を抱き、彼女はそのことを悟って私に抱かれた。
そんな夜だったのです。(参照 こちら )
私は友美さんにとって初めてのオトコが私であるかどうか、 そんな野暮なことをどうこう考えたことはありません。
どうでもいいことです。
妻の男性歴について知ったところで何も得るものはありません。
どうこう言うのあれば、私はどうなるのです。 私は過去に何人ものオンナを抱き、そして今、友美さんと結婚するのです。
恋愛に過去なんか関係ありません。
目の前の相手を愛する。信じる。
それだけです。
結婚についてもそれと同様。
目の前の相手を愛する。目の前の相手をを信じる。
それだけです。
虫のいいような考え方ですが、私はそう思っていました。
ところが。
このケンジという男の出現は何故だか私に胸騒ぎをさせました。
、、、あの電話の男?
友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきたあの男、、、。
頭の中にクレッションがいくらも浮かんでくる。
とは言え。
今は聞けない、友美さんに。
この場では、聞けない。
この席では、
友美さんに、、、聞けない。
|