J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年02月24日(月)    今の僕は君と生活できるだけの稼ぎがないけれど、

J (2.結婚)

4. 二次会 (7)


この男じゃないのか?

私は頭の中でぐるぐる考える。

この男じゃないのか?

、、、


私は友美さんから聞いたことがあります。

私と友美さんが友美さんのご両親から結婚を許されてから、
随分と経った時だったかと思います。
友美さんは、ぽつりと言ったことがあります。

そう、本当に、ぽつりと。

どうでもいいことなのよ、というように、、、


「純一さん、昨日ね、」
「うん?、」
「昨日の夜、電話があったの、」
「うん、誰から?、」
「同級生、」
「何だって?、」
「う~ん、結婚するのか?、って、」
「男?、女?、」
「男。」
「それで?、」
「それで私、そうなのよ、って言ったの、」
「ふ~ん、それで?、」
「そうしたらこんなこと言うの、待って欲しい、って。
 今の僕は君と生活できるだけの稼ぎがないけど、5年待って欲しい、って。」
「で?、」
「それだけ、」
「ふ~ん、で、友美さんはなんて答えたの?、」
「待てないわ、って、」
「ふ~ん、そうしたらその、男の子、なんて言ったの?、」
「分った、って、」
「それで?、」
「それだけなの、どうでもいいことなんだけど、、、
 一応純一さんには話しておかなくちゃいけないかな、って思ったから、、、」


、、、私にとってもどうでもいいような話でした、この時は。

何でかって言うと、
友美さんは本当にどうでもいいような口ぶりで話したものですから。


しかし。

改めて思い出すと何だか気に懸かる、、、


、、、

この男じゃないのか?

その時の電話の男って?



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