J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年02月15日(土)    結婚式はもう始まるのです。主役は私と友美さん。

J (2.結婚)

3. 結婚式 (4)


翌日は突き抜けるような青空の好天気に恵まれました。

私の気持ちはさっぱりしていました。

深呼吸をすると、さあて、やるぞ、という元気が自然と溢れてきました。


私はひとりで町の空気を吸いたいと思い、両親より先に家を出ました。


今夜からはもう戻らない私の実家。
明日からはもう見かけない近所の風景。
これからは歩くことのない駅までのこの道筋。

この改札口。このプラットホーム。この私鉄の電車。



私は生まれてからこの町以外で生活をしたことがありませんでした。

学生時代から年がら年中、旅に出ていた私でしたが、
いつでも帰ってくるのはこの町でした。

自転車で日本一周した時も、単車で信州や北海道を駆け回った時も、
列車の旅に揺られてあてのない旅を続けた時も、

いつも帰ってくるところはこの町でした。


これからは、新しい町。
これからは、新しい家。
これからは、新しい家族。


さあて、やるぞ、、、!

私は友美さんを想ってそう気持ちを引き締めました。



式場に着くと既に友美さんの一行は到着していました。


私は友美さんの控え室を覗き、
日本髪のかつらを被った友美さんを見つけました。

友美さんは私に気づき照れたように微笑みました。

私も釣られて照れたように微笑みました。

私たちは二言三言言葉を交わし、私はそこを後にしました。



結婚式はもう始まるのです。

主役は私と友美さん。


私たちはただ座っていればよく、

後は万事、式次第に沿ってことは進むのでした。



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この物語はフィクションです。

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