J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年02月10日(月)    オレは彼女を3年でものにしてやる。

J (2.結婚)

2. 引越し (13)


私は何が何でもそういうことに結論づけようとしていました。

アルコールは私を自暴自棄にさせたあげく、自己に正当性を与えるのです。


つまり、自分がレイに心を奪われたのは、恋愛感情によるものではなくって、
仕事上でレイを一人前にしてやろうとする熱意の余り、
一生懸命になってレイのことを考えているうちに、
いつしかそれが恋愛感情に近い愛情に変化したように錯覚していたのだ、と。



レイが私のことなんか何とも思っていないと同様に、

私もレイのことなんか何とも思っていないんだ!

そうなのだ!

私がレイに寄せた切ない私の恋愛の情、

私がレイを思って狂おしいばかりに揺れ動いたこの私の魂、

これらはみな錯覚だったのだ!


まったくもってしてレイは全然なっちゃぁいない!

まだまだ子どもだ!


オレは彼女を3年でものにしてやる。

そう約束したから一生懸命やっているだけなのだ!


、、、

私の心のうちの叫びとは裏腹に、私は話を続けました。

「レイちゃん、僕はね、今後はもっと君に厳しくしようと思う。
 もうそろそろ新人扱いも不要だろうと思う。
 君は面接の時に僕の話を聞いて決心をして会社に入った筈だ、
 その時僕が君になんと言ったか、は、覚えているよね。」

レイははっきりと答えました。
「はい。私は工藤さんの話を聞いて会社に魅力をかんじたのですもの。」


私はレイの目をじっと見詰めました。

レイも私の視線をそらさずにじっと私の目を見ていました。


私はこの時にレイへの思いを断ち切りました。

そう思い込みました。



これでいいのだよ、クドウジュンイチ、、、

私の心の声が私にそう語りました、、、



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