J (2.結婚)
1. 結婚前夜 (10)
食事が済んで、私と友美さんのお父様は居間に移りました。
友美さんとお母様は後片付けのため台所に入りました。
私は暫くお父様と仕事の話や景気の話などをして過ごしました。
そうこうしているうちに、 今度は風呂の準備が整っているからと、 私は進められるままに風呂を戴くことになりました。
私は完全にお客様扱いでした。
私は友美さんに逢いにきたのに、、、
私は一人湯船に浸かりながら、ふぅ、と、溜息をついたものでした。
「純一さん、湯加減はどうですか?」 友美さんが風呂のドア越しに私に聞いてきました。
「ああ、ありがとう、これから君も入るのかい?」
「ええ、私は一番最後、」 と言って行ってしまいました。
友美さんは人柄もよく、気立てもよく、 誰からも愛される、そんなタイプの人でした。
誰に対しても優しく、誰に対しても柔和でした。
友美さんのことを悪く言う人はいないはずです。
しかし、その反面、 人に意見したり、自分の考えを通したり、 自分で物事を決めたり、、、そういうことは一切できない人でした。
こういう時には、いい人過ぎるのも物足りなくもあります。
私は友美さんに逢いにきたのに、、、
友美さんだって、私と二人で話をしたいだろうに、、、
私は、少し友美さんと二人きりで話をしよう、
と思い、早目に風呂から上がることにしました。
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