J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年12月29日(日)    私と飲むと楽しい、、、

J (1.新入社員)

6. 初めてふたりで飲んだ夜 (5)


カウンターに座るとマスターが私に話し掛けました。

「らっしゃい、クドちゃん、久し振りだねェ〜」

「ああ、マスター、ここんとこ忙しくってさ、オレ、来月結婚するの、知ってる?」

「知ってるよ、総務にいた娘って聞いたけど、この女(ひと)?、」


私はレイを見てニヤっとして、「違うよ、」と言い、
レイに「なに飲む?、ビールにするか?、」と聞きました。

レイは、「ハイ、そうします、」と言いました。



「マスター、このコは今年営業部に入社したばかりの樋口さん、
 えっと、ビール頂戴、それとつまみを適当に、お願い、」

「な〜んだ、いくらなんでもトシが離れていると思ったよ、」
と、マスターは私に言い、
そして奥に向かって、「おい、ビール、」と声をかけました。

私は内心、
(やっぱりレイとオレは随分年が離れているように見られるんだな、、、)
と思い少しがっかりしたものです。

私は30歳、レイは18歳、当然と言えば当然でしたけど。



すし秀は営業でよく接待に使うので、私もマスターとは古い馴染みです。
ただ、いつもはお客さんと一緒なので、個人的な話はあまりしませんでしたが、
なぜかマスターは私を気安く「クドちゃん、クドちゃん」と呼ぶのでした。


ビールが来て私はレイに注いでやり、
レイも気を使って私のグラスにビールを注ぎました。

「じゃ、今日はお疲れ、」「御疲れ様でした、」

私たちはグラスを合わせ、
私はグイっと飲み干し、レイはちょっぴり口を湿らしました。


「うまい、、ん?、なんだレイちゃん、今夜はおすましじゃないか?、
 ぐいって飲んだらいいのに、夏季研修の時みたいに、、、」

「え〜、あの時ワタシ、そんなに飲んでないですよ〜、
 工藤さんは随分と酔っぱらってましたけどね〜、」

「そうだっけな、ま、いいや、せっかくだから少し飲めよ、
 この先営業部にいると飲む機会も多くなるからさ、練習、練習、だよ」

「でも、ワタシ、未成年ですよォ、」

「んんん、じゃ、ジュースでも貰うかい?、」

「いえ、大丈夫です、工藤さんと飲むの、ワタシ、楽しいですから、、、」



私と飲むと楽しい、、、
レイは嬉しいことを言ってくれました。



私は気持ちよく、ビールを何杯も飲み、
そのうち水割りにかえ、いつしか酔っぱらってきてしまいました。

レイも私に付き合うように水割りにし、
少し酔ったように見えました。

会話が、滑らかに弾んでいました。


私はレイについてのふたつの疑問(こちら)を思い出し、
無性に聞いてみたくなっていました。



レイの胸のカタチ、、、

これについては、知りたくても知りようがありませんでしたが、

もうひとつの疑問、

レイの彼氏については、どうしても聞いてみたくなりました。



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