J (1.新入社員)
1.面接 (7)
ところが数日後、意外な展開が私を吃驚させました。
彼女、レイ、から、人事課のほうに、 入社志望を取り下げたいとの連絡が入ったというのです。
「はぁ、それはどういうことなんでしょうか?、部長。」
(何れにせよ、オレには関係ない話じゃないか、) と、私は思いました。(どうせ、営業部に配属になるわけではなしに、)
「いやな、工藤君、正確には履歴書を取り下げて、 新しく書き直して提出したい、そういう主旨だそうだ。」 「、、、そうですか。ただ、私には無関係のことのように思えますが。 それとも営業部で働きたいとでも言い出したんですか?、」 「どうもそうらしい、はっきりとしたことはわからんが。 まあ、明日新しい履歴書が届くそうだから君も見て見たまえ。」
私は翌日、部長から新しく書き直された履歴書を見せて貰いました。 そこには志望動機の欄にこう書かれていたのです。
『志望動機。 先日は会社訪問をさせて頂きありがとうございました。 会社での説明を聞き、私は営業部で働きたいと強く思いました。 辛く厳しくとも、やりがいのある職場で夢をもって仕事をしたい。 そう強く思いました。 最初は足手纏いになるかもしれません。 だけど一生懸命先輩方について行きます。よろしくお願い致します。』
私は履歴書を読み終えると、無表情でそっとそれを部長に返しました。
「それで、彼女はどうなるんですか?」 「どうもこうも、学校の先生からもよろしく頼むとのことらしいので、 彼女の志望動機がそうまで固いのであれば、 営業部での採用として決定するだろうよなぁ、 工藤君、君にとってはよかったのか、悪かったのかは分らんがね。」
「、、、そうですね。」
私は無表情でそう言いました。 なんだか喜ばしい顔をするのは違うような気がしたからです。
こうして、レイの入社はあっさりと決まりました。
私は内心嬉しかったのを記憶しております。 正直に記しますと。
(1.面接、の項 終わり)
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