「本が好きなことと、本をつくれることは違う」と多くの大人が就職活動中にアドバイスしていたことを、社会人4年目になって切実に実感するようになった。学生の頃は、半分精神論だと思っていた。大人には、もっと具体的なことを教えてほしかった。
切実に実感するというのは、とても薄い内容の、タイトル一発で少し売れてしまった、つまり普段自分だったら絶対に手に取らない類の本も、つくりを見てみるとそれなりに勉強になるということ。それに、少し売れている時点で何らかの点が人を引きつけたのだからそれなりに意味があるのだろうとも思えるようになった。
転職し、今後書籍づくりで勝負していこうという気持ちでいる。35歳くらいまでに、なんとか「売れたね〜」という本をつくりたい。切実に考える。
目の前の現実は、ライターさんからあがってきた原稿をひたすらリライト、リライトの嵐。とても面倒だが、やるべきことをひとつひとつやらないと前には進まない。
今日は、スケジュールが遅れたことをデザイナーさんに謝る電話をした。 「申し訳ないんですが最悪の事態を考えてください。●日にお渡ししたいんですけど、さらにずれる可能性もあります」。 神経質な声で伝えたら、 「最悪の事態って何ですか?」 と素直に聞かれる。確かに、最悪の事態って何だろう……。 「私心配性なんです。すみません」 「僕B型なんで、まあ大丈夫だと思います。あ、社長はABです」 謝るつもりが、終わってみたら励まされて電話を切った。
仕事のやりがいだとか、気持ちいいだとか、『働きマン』みたいな大きなことは、あまり考えなくなった。「誇れる仕事」とかいうけれど、そんなことはけっこうどうでもいいことだと感じる。代わりにどうしたら目の前のことをうまくできるかについて、ちまちま作戦を練っている。
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