高円寺の風俗街を抜けた先の路地に、新しい古道具屋ができた。瓶、栓抜き、ねずみ取り、陶器、ガラス食器、椅子、ランプなどを、押しつけがましくないおばさんが売っている。夜の8時過ぎ。夕食の買い物に出たついでに、店をのぞいた。
骨董というには高尚すぎる「古道具」というたたずまい、値段のものが多い。ステンレス製のお盆が気になって、値段を尋ねる。表面の銀メッキがはがれて、黒ずんでいる。これにぶどうやバナナをのせておいておきたいと思った。麦茶も運びたい。
おばさんはむらさき色のパラフィン紙にお盆を包んで、紙リボンでそれをくるくると巻き、端をからげて渡してくれた。パラフィン紙には油のしみがついていた。これも古いものなのだと知る。
東急ストアでカレー味のスープとナポリタンの材料を買う。風が気持ちいい。どの家の窓も、ガラス戸を開けて網戸にしている。ひとり暮らし(予想)の窓には、ペットボトルがたてかけてあり、中からはロックが聞こえてきた。大家さんの家の庭には、あじさいが咲いている。家に着いて、梅雨の晴れ間に大急ぎで洗ったパリパリの洗濯物をしまった。
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