友人が、『BABEL』の感想を書くときに使っていた言葉だ。乾いたモロッコの砂漠と、メキシコの高速道路と、東京の高層マンション。何度も表題の言葉が迫ってきて、辛くなった。
この映画は、私たちの乾きを救ってはくれない。ただ、私たちが日々感じている乾きを、全世界共通の言葉に翻訳して我々に気付かせてくれる。我々はひどい場所で生きており、そこにはひどい生活をほの暗く照らすコミュニケーションという名の救いがある。
なんて、偉そうなレビューみたいな文章を書いてしまった。他にもいろいろ書こうとしたが、やめた。この映画を見て私が本当に思ったのは、次のことだけ。
この映画に出てくる人々の乾き方は、大学生時代の自分に本当によく似ている。そして、今の私は、人とのコミュニケーションについて本当に深刻に悩み、考え、乾き、常に誰かを求めていたあの当時に戻るのが怖くて仕方がなく、だから今目の前にいる人々との関係を、心から大切にしようと思っている。私は臆病者だ。誰かがいないと生きていけない。少しも自立していない。
本当のことを書くには、勇気がいる。
|