銀河8丁目10番地の日誌

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TOS フラノール雪見怪談  2004年10月22日(金)


「それじゃあ、この方々にボディーガードを頼みましょうか」
「じゃーなロイド。レアバード借りてくぜ」

瀕死のアルテスタを救うために、医者を呼びにフラノールに来た一行。
ランダムなメンバーをボディーガードに選んだ闇医者は、
ゼロスと共にアルテスタの家へと飛んでいきました。
レアバードって何機あるんだろう?
そんな心配、強制進行イベントの前には杞憂です。

「仕方ない。一泊するか」

ロイドたちは、フラノールの宿屋に泊まることになりました。


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さて夕刻、ドアをノックする音に、ロイドは振り向きます。

「どうぞ」

部屋に入ってきたのは、コレットでした。

「ロイド、雪が降ってるよ」
「へぇ、雪? ま、フラノールだし・・・テイルズシリーズは雪が大好きだしな」
「えへへ。ね、散歩に行かない?」

ロイドのさりげない毒舌を天然というベールでかわしたコレット。

「散歩?」
「うん」

にこにことコレットが答えを待っています。
ロイド、ふと、ある不自然さに気がつきました。
”音声が入っている”ことです。
通常イベントでは考えられない、ボイス入りの会話。
否、すなわち逆に取れば、ボイスが入るということは、つまり特殊イベント。

これは。
これは、まさか。
ロイドの背後にベタフラッシュが巻き起こります。

「これが噂に聞く、フラノールの雪見イベントか!」
「そうだよー」

フラノール雪見イベント。
それは、数々の攻略サイトで噂される、あの伝説のイベント(言いすぎ)です。
シンフォニアにて用意された、好感度とかいう二次創作系マニアにはたまらないシステムの採用。
その集大成、とも言えるべきが、このフラノール雪見イベントなのです。
今まで蓄積された好感度の高い方から、3人のキャラクターが誘ってくるはず。

「ロイド?」
「あ、ああ。えっと・・・」
「どうしたの? 散歩、行かないの?」

シリーズ最強のヒロイン属性(※プレイヤー談)を持つコレットが、
上目遣い&小首を傾げるヒロイン仕草で、ロイドに迫り寄ります。
ぐらりと世界が1回転ほど回ったロイドでしたが、かろうじて返答できました。

「その・・・ごめん」
「そう? そうだよね・・・アルテスタさんが大変なときに、不謹慎だったよね」

コレットは少し寂しそうに去って行きました。
罪悪感にかられつつも、ロイド、ぶんぶんと首を振ります。

運良く、セーブは数分前にしてあります。
ならば、この目で見ておきたかったのです。
”好感度の高い上から3人”、というヤツを。

しかし、さすがにヒロイン。
ゲーム進行中は好感度の上下なんて考えもしなかった
(最近知ったばかりだったため調整の計画も立てられなかった)
ズボラプレイヤーでしたが、
一番手にやって来たのはヒロイン・コレット嬢でした。
何だかナ○コ様の手の平の上で踊らされているようでもありますが、
少し嬉しいのは確かな、ロイドです。

さて、次は誰だろう?
ロイドが考えるヒマも無く、すぐに扉がノックされます。

「ロイド、いるー?」

次に部屋に入ってきたのは、ロイドの親友・ジーニアスでした。

「何だ、ジーニアスか」
「何だとは失礼だなー。ねぇ雪見しに行こうよ。雪降ってる!」

さすが戦闘参加率がロイド(90%強)に次いで高い80%後半台を誇るキャラクター。
プレイヤーの銀髪愛と魔法愛を一身に受ける、ハーフエルフの魔術使いです。

可愛らしい弟分と雪見なんて、世間の婦女たちをキャーキャー言わせそうですが、
ロイド、とりあえずは首を横に振りました。

「ごめん・・・今、そんな気分じゃなくてさ」
「ええー? もーつまんないなぁ」
「悪いな」

ジーニアスはぶーぶー言いながら、去っていきました。
その後ろ姿も何かちょっと愛らしい、
と、一瞬でも思ってしまったロイド(プレイヤー)は、
軽く犯罪者に片足突っ込んでる気がしてなりません。

はたと我に返って、ロイドは気分を切り替えます。

「さて、と。あと残ってるのって・・・誰だ?」

2人目のジーニアスの誘いを断り、ロイドはひとり黙します。

ゼロスでは無いことは、残念ながら確実です。
「レアバード借りてくぜー」というセリフは、ゼロス以外には考えられません。
他に何人か見えた気がしますが・・・
そんなに重要なイベントでは無いだろうと思って、見過ごしてしまったのです。

「リフィル先生もゼロスと一緒の方にいたっけかなぁ?
 あとは好感度の高そうなのはしいなだけど・・・」

しいなは『くちなわとの決闘』一連のイベントを終わらせているし、
通常戦メンバーにも加えたり、ロイド(プレイヤー)が何かとヒイキしているキャラです。
レアバードで世界中を飛び回って、無駄にスキットを見ている分には、
どのキャラでもおかしくは無いのですが。

「でもゼロスのも、プレセアのイベントも結構見たしなぁ・・・」

可能性の残るキャラクタに、クラトスを忘れてはなりません。
クラトスがここで3人目に訪ねてくれば、
貴重なクラトスルートとかいうやつを、1周目にして拝めるかもしれません。
かつて執念(と愛?)で勝利したクラトスには、
何かと思い入れも強いロイド(プレイヤー)なのです。

都合よくドアをノックする音に、期待は高まります。
3人目。

「ロイド、少しいいか?」

男性の声です。
ロイド、意を決して、振り向きました。


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翌朝、医者を連れて行った面々が戻ってきました。

「リフィル先生ッ、ロイドが大変なんです!」
「コレット? 一体、どうしたと言うの?」

リフィルが慌ててコレットに駆け寄ると、
彼女のそばにはツンツン頭の先まで真っ白に燃え尽きた、ロイドの姿がありました。
およそ人では無い効果音がロイドを無常に炭化させつつも、
何やら、ぼそぼそと口を動かしているではありませんか。

「昨日からうわ言みたいに、リーガルさんの名前を・・・」

確かに、よくよく聞いてみると、
放心状態のロイドは「リーガルが・・・何でリーガルが・・・」と繰り返し呟いています。

「昨晩、雪の降る中で立っていたせいで風邪でもひいたのかもしれんな」

しんみりと頷くリーガルです。

そう。フラノールの雪見イベント3人目は、あろうことかリーガルだったのです。
こと彼に関しては好感度もサブイベントも一切考えず、戦闘メンバーにも入らず、
進行上にも最後にパーティーに加わった、リーガルだったのです。
(超失礼です。リーガルファンの皆様、申し訳ありません。)
一体、いつ好感度が上がったというのでしょうか。怪現象です。

「え? リーガルさん、ロイドと雪見・・・してたんですか?」
「うむ」

そして、1人目、2人目の誘いを断ると、3人目とは強制的にイベントが進行されるということに、
リーガルと雪見をしながら、「何でリーガルと雪見してんだ俺?」と、
?を頭上に浮かべていたロイド(プレイヤー)は、そのとき初めて気がついたのです。
あまりの衝撃に、ロイドは翌朝まで高熱にうなされていたのでした。

「ゼロス・・・」
「あ?」

フラフラと、どうやら立ち直ったらしいロイドは、
イベントを進行しながら何か決意したように頷きました。

「信じてるから(雪見イベントを)」

ぐッと親指を立てたロイドは、ゼロスとの謎のアイコンタクト直後、
颯爽とメニュー画面を開きました。


 <<<ただいまロード中>>>


さて、何度目かの翌日。
”フラノールの雪ウサギ”を装備して満足気なロイドの姿が、そこにありました。

「やっぱりイベントはヒロインとに限るよなー♪」
「? うん、そうだねー」

仲睦まじいロイドとコレット。
が、コレットは知りません。
そのイベントに至るまでに、涙の決死戦があったということを。

「ロイド・・・私の立場はどうなるというのだ・・・」
「リーガル。何かその発言、一方通行の愛みたいな・・・(もがッ)」
「それ以上は止めとけ、お子様。このサイトは健全がモットーだ」

せめてしいな、いやゼロスを、と。
どうにかして3人目を別のキャラに出来ないかと、
好感度上下イベントを求めて、レアバードを酷使し各地を飛び回ったロイドでしたが、
結局、好感度の順位が変わることは無かったのです。

「まぁ、何て言うか・・・
 これぞ正真正銘って感じのストーリーで、結果良かったんじゃないかい?」

しいなの言うことも、もっともです。

・・・せっかくなので3人分全てを見た後、
ブツがもらえるという理由で、ヒロイン・コレットとの雪見を選択、
なんてことはロイド(プレイヤー)の心内に一生仕舞われることでしょう。


パト / 宇宙書店

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