家族進化論
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2004年07月01日(木) The Strawberry Season 2 /Erslkin Caldwell

ある日僕は苺がよく熟れた畑を知ったのでそこに向かった。
そこの畑はせいぜい2〜3エーカーで、わざわざそこまで行こうと思う人は殆どいなかった。
そこで僕は誰かが苺を取りに行く前に行ってしまおうと決心した。
その畑に到着した時、ファニーは既に最初の2列を済ませていた。
彼女は自分だけで畑全部の苺を取ってしまおうと考えていたのだ ―丁度僕が考えていた様に― 。
僕らは誰もいないかのごとく、お互いがいることを気にしなかった。
「やあ、ファニー。」私は言った。
「なんで今日はガンピーさんとこの畑まで来ようなんて考えたんだい?」
「あなたと同じ考えよ、たぶん。」
彼女は手一杯の苺の上の砂を吹き払い、口にほおばりながら言った。

僕らはお互い端端から仕事を始めた。ファニーは摘むのが速く、僕は着いていくのが精一杯だった。
正午一刻前、太陽は熱く大地を焦がし空は晴れ渡っていた。
僕らが兎に角取りまくった苺は熟れきっていた。
ファニーは彼女の隣の列に1ダースもの箱を満杯にさせていた。彼女はひたすら摘み続け苺のつるひとかけらも箱に入れなかった。
彼女は親指人差し指中指だけで三角形を作り茎についている苺をつまみ摘み取っていた。
いつもなら畑にいる、取り方が下手糞で苺を潰してしまう人のようなへまはしなかった。

僕は今まで他の畑の中では気付いていなかったが、ファニーが裸足だということに気付いた。
午後になったら、勿論靴下無しではとても寒い。そして膝下には靴下、それを擦り切れるまで履くのがここではよいのだ。
彼女は僕が彼女の裸足を見ているのを見ると、ちょっと笑った。
その笑顔がたまらなく素敵だと僕は言いたくなったが、敢えて言わなかった。

昼下がり、正午過ぎの頃よりも更に熱くなった。
朝にはちょっと感じてたそよ風は消え、太陽の光をレンズで照射されてるかのようだった。ファニーの足首は茶色く焼けていた。

自分でも気付かぬうち、僕はファニーの後ろに忍び寄り彼女の服の襟首から特大の熟れた苺を落としていた。
彼女は震え上がった。彼女は、僕は数列離れていたところにいるものだと思っていたから、服の中に落ちて来たのはナンキンムシみたいな虫の類だと思ったからだ。
彼女が飛び上がった時、後ろに立っていた僕を見たので彼女は笑いながら苺を取る為にブラウスの中の胸に手を差し込んだ。
僕は確かに、彼女のブラウスの下を見た。
彼女の手が苺に触れる前に、私は思いっきり苺を叩いた。
僕はいつもの苺叩きの様に、彼女は笑うもんだと思ってた。
でもこの時、彼女は笑わなかった。彼女はすぐにしゃがみ込んで,自身の体をきつく抱きしめた。
僕はその時、何かおかしい・・と気付いた。
彼女は涙目で僕を見上げた。僕はへたりこんだ。僕は彼女の胸を叩いてしまったのだ・・

「ファニー、大丈夫?」僕はあせった。「傷ついた?そんなつもりじゃなかったんだ、本音だ、そんなつもりじゃなかったんだ。」
「わかってる」彼女は膝に涙を溢しながら言った。「でも痛かった。ここはぶっちゃ駄目」
「二度とやらないよ、ファニー、神に誓う」
「もう大丈夫」気弱に彼女は笑った。「まだちょっと痛いけど・・」
彼女は頭を僕の肩に乗せた。僕は彼女に手を回した。彼女は服の汁を拭った。
「もう大丈夫」繰り返し彼女は言った。「痛みはすぐひくと思う」彼女は頭を上げ僕に向かって笑った。
彼女の大きく丸い蒼い瞳は朝焼けの空の色合いだった。

「一生君には苺叩きをやらない、ファニー」僕は彼女が許してくれることを願いすがった。
彼女は服の胸を覆う部分のボタンを外した。苺は彼女の下着の下で潰れていた。その深紅の染みは白地に映えて朝日の輝きの様だった。
「苺を出すから下着を脱がないといけないわ」彼女は言った。
「僕に取らせて」僕はあえいだ。「指を全部汚したくないだろ?」

彼女は下着を脱いだ。苺は彼女の乳房の間で砕け散っていた。
乳房は乳白色で、どちらの中心にも苺を潰した染みの様な乳頭がある。
僕は思わず両腕で彼女をきつく抱きしめ、長い長いキスを交わした。
潰れた苺は僕らの間にある地面にしたたり落ちていった。


私達が起き上がった時、太陽は沈み大地は冷え込み始めていた。
私は各々の苺籠と箱を見つけ小屋に向かう為畑を通り抜けた。
小屋に着き、ガンピーさんは苺の数を数えその分の賃金をくれた。
私達は家の前の小道を通り抜け、ちょっとの間互いに見つめあった。どちらも無言だった。
一度だけ、彼女は自分は今まで恋人を持ったことがないと言っていた。
私は彼女が自分のものだったらよかったのに、と思った。

ファニーは一方の道に翻り、小道を下り始めた。私は逆の道を。
苺の季節は終わりを迎えていた。


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