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2004年09月11日(土) 小玉姫さま


 空が薄い紫色に変わってゆくのを仰向けに寝転んだ窓越しに眺めてると、瞼の裏側にもその色が滲み込んできて、次第に躯全体がゆっくりとその色に染まり、そのまま逝ってしまったらどんなに綺麗かしらと、そんなヒロインめいた気持ちになったのだけど、昨日の体調がいまひとつで入浴してなかったのに気付いて、これじゃ美しくないわと、慌てて目を閉じて眠ろうとしたのが午前4時過ぎ。
 ほどなくして白んだ空は、気持ちも白みさせて眠るのを断念させた。

 手を伸ばしてテーブルの上に置いてあるはずの煙草を探す。指先で箱を開け一本を引きながら箱ごと手前に引いて口に咥え引き抜く。
 テーブルに戻すつもりが、手が届かずそのまま箱が床に落ちる。咥え煙草のまま唇を少し尖らせ転がされた煙草の箱を見るけれど、少し先に落ちてしまったので諦め、ライターを取ろうと手を伸ばすが、ライターが見つからない。煙草を口から離してちいさく舌打ちをし、重い体を起こしてベッドに改めて腰掛け、生あくびをしながらライターを探すが、こんな時に限って見つからない。
 きっと気付かないうちに猫のいい玩具になってしまってたんだろう。も一度屈んで床を見ると、やっぱり落ちていた。
 床に座り込み、手を伸ばして落としてしまった煙草の箱とライターを取る。
 カートン買いをした時に、オマケで付けてくれる安っぽいライターの火で、やっと煙草が吸えた。一息吸い込んで吐き出されるそれは、まるで溜息がよく見えるようにと煙になったようだ。
 きつく感じる指輪を取ってテーブルに置き、そこだけ白くふやけた指輪の後をなぞったり朝日に当てて見たりした。吸い切った煙草を小さな黒い灰皿で、用心深く揉み消して、そのまま床に寝転んでみる。
 硬く冷たい床が気持ちいい。その感触を楽しんでいると、頭上から猫の小さな声が聞こえた。ついさっきまで、枕元に丸くなって眠っていた猫が見下ろしながら声をかけていた。
 「あ、うん。ちゃんとベッドで寝るよ」
 スライムになったように、ズルズルとベッドに這い上がってそのまま横になる。
 前脚を揃えたまま前方に伸ばし、尻を高く上げて尻尾をピンと伸ばし背中を弓なりに反らせた伸びをヒトツして猫は、ひらりと朝食を食べにベッドから降りていった。
 「なんだよ、呼んでおいて……」
 声にならない声で呟いた。
 まだ通りは静かだ。そのままベッドと一体化を楽しんでいると、足元に軽い重みを感じ猫が戻ってきたのを知らせる。
 少し遅い朝日の中のやっと辿り着いたまどろみの時間になった。そこには薄紫色も、やけに霞んだ白けた色もなく、わたしを安心させていた。




 ちゃんと服用していたのに関わらず、予定外の玉姫さま乱心。(強いて言うなら小玉姫さま?)腹痛はないので、ぁぁん♪な座薬は必要なし。なのだけど、やたらダルイっす。そーじゃなくったて重い躯が、尚も身重。あらいやだ、お子が出来ての身重でなく、単に重さが重いだけよ。失礼ねー、放っておいてちょうだい。いあ、適度に構ってちょうだい。と、支離滅裂な日々が数日続きます。恒例です。どもです。




 忙しくても構ってくれないとヤだ!と、きっぱり言えるほど安心してない。と、いうよりこゆ時は元々が情緒不安定だと決め付けておこう…で、4点。




香月七虹 |HomePage