+女 MEIKI 息+
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素敵な恋をしてたんですね。 …ってなことを言われましたが、きっぱり言いますと「してませんて!」林真理子が恋愛小説の大家だと評するのに似てますぜ?
点滴を受けると、硬いベッドの上に横になったまま何もすることが無い。 天井を見つめていても染み一つない無機質なそれからは何も想像することが出来ず、壁もカーテンも同じこと。これが田舎の祖母の家であったら、長年の古い建物特有の染みや影で様々なものが想像されて、面白くもあり怖くもあるのだけど。 わたしはどうやら他の人よりも点滴の落ちる速度が遅く設定されているらしい。通常、一本ぐらいでは転寝している間に終わるのだろうけど、熟睡した後でも終わるか終わらないかの速度である。手元にある速度調節のツマミをちびっとだけ動かして早めてみた。以前も看護士さんにそれを伝えて早めてもらった時と同様に、呼吸が苦しくなってきたので元に戻す。 弄るものが無いのは退屈この上なく、情け無い声でコールボタンを押して看護士を呼んだ。キャスター付きのフックに点滴を下げ替えてもらって、ウロウロと病院内を徘徊できるようにしてもらった。 「終わりそうになったら戻ってきてくださいね、も一本ありますから」小さな子どもに言い聞かせるような優しい口調の看護士さんにヘラヘラと笑い返して先ずは、喫煙所に向かった。いつもの顔ぶれで、いつもの会話。話しに混じらなくとも硬いベッドで横になっているよりはずっと落ち着く。 喫煙所に向かう廊下でも数枚見たポスターが、喫煙所にも貼ってあった。 ほのぼのとした白熊が抱き合うそのポスターには「ハグしてね」と書いてある。「hang?」最初に頭を過ぎったのが「吊るしてね」ってのは病院には相応しくないだろうよと思いつつ、もう一度見ると「hag」なるほど。 白熊の足元に書かれている小さな文字を読むと「愛情を持って抱締める行為は、不安を取り除き安心感を与える素敵なことです」ってな内容のことが書かれていた。(『櫻屋』の11/21 「抱きしめてくれる人」を読むと、なるほど×2である)触れ合うことが下手なわたしには、それが羨ましくもあり。「hag」だと納得した後もそのポスターを見る度に「hugには熊が前足で押さえつける」なんて意味もあるから、それで熊をポスターにしたのかしらんなどと思うのであった。
午前中の大半を喫煙所で過ごし売店で雑誌を立ち読みしているとやっと点滴も終わりチューブに血が逆流してるのに気づいたので、のっそりと科の受付に顔を覗かせてその旨を告げる。中待合室の椅子に座って看護士さんに次の液の袋と交換してもらう時に「中で横になってる?」と勧められたが、やっぱりヘラヘラと笑って誤魔化してそのまま院内にある喫茶店に行った。 おや、喫茶店にも白熊ポスターが。
「はぐはぐ」は、どうやら必要らしいです。皆の衆。
濃密な交わりが濃交なら、サクッとしたのは淡交って言うのかしらん。あ、それは茶道か。
ドドメ色を検索で引っ掛けてきた方の多かったことに、ちと驚き。 ドドメ色サイトによーこそ。
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