+女 MEIKI 息+
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2003年05月09日(金) たぶん…



 どっから話せばいいんだろ
 何から話せばいんだろ

 話していたいって思っても
 言葉が見つからなきゃ
 沈黙を刻む秒針の音が
 こめかみから胸へと突き刺さるだけ

 手探りで触れた指先の感触は
 トモダチの声を掻き消して
 心の呟きを内へと向かって繰り返す

 わたしはあんたを好きなんじゃない。
 好きなフリをして、胸を熱くするフリをして
 そんな自分を楽しんでるだけ




 一人の女が居る。
 その女の書き出す文章から、その日に起こったことを知り、その時に思った感情を知り、そして次への予想をしつつ厭らしく楽しむわたしが居る。
 女の苦しむさまを読んで、まさに楽しむわたしが居る。
 女の愛する男の、女からは見えない部分のほんの一欠けらを知っているだけで、女の苦悶が視聴率を稼ごうとしているドラマに見えてしまう。苦しめば苦しむほどに。
 自分しか愛せない男を、傷ついている男として「愛している」と言うことが滑稽に見えてしまうのは、きっとわたしの心の底にある妬みが成せるのだろう。そんなふうに考えてもやっぱり違うと呟きながら。
 一つの恋愛話は、わたしの知らない処で起こるから映画のようにのほほんと感じる。
 彼や彼女、そのどちらかの一面を知っているというだけで、まるで知らない片方が肴になってしまう。

 手懐けるゲームが流行ってるのか。冷たいゲームに酔っているのか。
 本人たちが真剣なほどにその部分だけが浮き出ている。

 「人を真剣に愛したことがないのでしょう?だから、感情が捻れているのよ。」

 そうかもしれない。




香月七虹 |HomePage