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2012年09月21日(金) 個顛末



 東京日本橋三越の展覧会を終へ、その後溜っていた読書途中の本の山を片づけ、次の展覧会の下準備、作品小冊子の制作、親しい人達との集い、来月再来月の旅の準備。ようやく我に返ったらもう展覧会が終わってひと月近くたっていた。
 猫額亭(猫の額のごとく狭い家の庭の事)にて昼下がり、一杯やって微睡む事が出来る季節になり、気が付いてみればもうコオロギが鳴いている。
で、久しぶりに漫画を読んだ。K・よしのりの「脱原発論」。何を書いてあるのか。始めから妄想で始まり、近藤宗平博士が昔から言っている言葉「正しく怖がる」を違う意味に捕らえてその言葉を引用し、そのことごとくが、早い話「怖い、恐ろしい」への正当化意味づけに終始し、長い間の結論であるホルミシス効果を一人の無名人の著作を持って全否定し、もしくは医学界には当たり前に行われている低レベルにおける放射線治療も同様全否定しているに等しい。医学界の事はあまり出てこないが、突っ込み所満載の漫画であった。
自分の体内から出ているカリウム40、三千ベクレルの放射線、他人に与える害についてはどうでっか?自殺してもあきまへんで、骨と灰になっても今後一億年出続け末世。こういう事は一切描かん所が一知半解。

 医学と科学をごったにしてホルミシス効果を証明せいと描く。医学の世界は数値だけでは治まらないことをいい年して分からないのだろうか。それだったら針灸の経絡(つぼ)を証明してみよ。漢方の効能を証明してみよ。漫画中では笑い飛ばされている「放射線は人体に影響があるかないかは「線量率」で、考える」と言ったお医者さんは真っ当だ。たぶん新天皇論を描いた中でも,どうやら女性天皇女系天皇を理解していないらしいこと、男児出産の確率論が理解できていないらしい事を暴露してしまった頭で描かれたこの脱原発論も一知半解の本で、高田純博士(札幌医大)はこの本は悪書であると言ったが、たん譚は「駄本」だと思う。漫画しか読まない連中は簡単にだまされる。そのわけは、漫画は描き手が敵だとした人物を下品に表情醜悪に描く。漫画は大体主人公が善で、必ず反対側の悪、悪もどきがいて、それを痛快に蹴倒していく。この描き方習性が身に付いてしまっているので必ずそう言う描き方になる。一辺、全部文章だけで敵だとする学者と論争してみたらよい。あんまり学問をなめたらあかんで。

 言いっぱなしで、自分の書いたものに責任をとらないんだったら(新天皇論)生かじり時事漫画家を廃業してお笑い漫画家に戻れ。バランスをとっているように見せて、自分にとって最初から結論ありきの進め方で描いて、よくも何十年も掛かって地道に研究データを積み上げ研究している人々学者に、「データだと?」言えたもんだ。医学は科学ではないのだから、データによる所が絶大である。

 この漫画のやっかいなところは、いろいろな放射能関連の本のつまみ食いを手下たちにやらせ、手下を使って描きあげることである。多分次の刺激的挑発的な題名の単行本が出る頃には前作何を書いたかよく覚えていないだろう。流行漫画家の宿命である。それに本音が所々に出る。この漫画家は基本的に「臆病者」である。戦争論の時から時々顔を出す。

 この駄本の一つ一つに反論できる知識を持っているが、ここは専門家の反論を楽しみにしてまとうと思う。なんで書かんかと言うと専門家に失礼だし、たん譚はただの絵描きだからである。












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