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2012年01月06日(金) 可哀想な機動隊員



 午前三時のBSニュースを見ていたらオームの元信者指名手配犯の平田某が最初に機動隊員だかに出頭し、名を名乗った際に相手にされなかった事について警察庁の長官が「対応が不適切であった」と謝っていたが、これを読んでいる人はここから常駐する機動隊員になって我が身の事として読んで見てくれ。

以下北京語通訳捜査官だった*坂東忠信が同じ場所で警邏した経験から書いていた事を引用する。


 平田某が出頭して来た警視庁本部の正門前は、皇居のお堀に接しているので、ちょっと他の警戒ポイントとはわけが違う。正門は昼間からたくさんの警察職員や警察幹部、その他お偉いさんの他、ヤクザみたいな刑事や、作業服を着た業者風の刑事、極左風の刑事も出入りするし、変なおじいさんが「内閣秘密調査室」なんて鉛筆で書いた名刺を示して本部に入ろうとするし、「秘密のお話だから交番のお巡りさんじゃダメなのよ! 警視総監にお願いします!」という謎の女性など、面白い方々が警戒を突破して中に入ろうとするのです。

おまけに外周では、罰ゲームなのか心意気を示すためなのか、若い右翼構成員が皇居のお堀に飛び込んで一旗揚げようとするし、「陛下のお具合がよろしくないのは、江戸城の亡霊武者の仕業。除霊に来ました」と言う家族連れエクソシスト、太鼓を打ち鳴らして皇居を回る左翼系宗教団体など、昼間から気が抜けない。
さらに深夜になると、すごいんです。
「寝ているうちにソ連(当時)のスパイに脳内にオシロスコープを埋め込まれたので、取り出してください」と言う自称スパイ工作被害者、「私は皇太子殿下の秘密の花嫁です(当時皇太子殿下はまだご成婚直前)。案内してください」という超シンデレラ、「脳に直接ありがたいお経が聞こえてくるんです。南無妙放送局はどこですか」というおばあちゃん、「霊安室の松本さんに呼ばれましたが、こちらに安置されてますでしょうか」という幽霊よりぞっとする男性などなど、多いときには一日に3〜4人も来るんですよ。

こういう事が日常茶飯にあって、人も遮蔽物もなく寒風吹きすさぶ深夜のお堀端で3時間ほども立番している大晦日深夜、寒さと眠気で意識朦朧、そこに「オウムの平田信です」なんて男が現れたら…。
さて機動隊員であるあなたはどうするか。

たん譚なら件の機動隊員とまったく同じ対応していた。


*坂東忠信…警察官拝命後、交番勤務員、機動隊員、刑事、北京語通訳捜査官として活動、勤続18年で警視庁を退職、現在は司法通訳、作家、防犯コンサルタントとして、日本国内に増加する外国人犯罪、特に中国陣による犯罪増加をテーマとした著述・講演活動を展開










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