目次|過去|未来
先日、豊作の葡萄の半分が害虫にやられてがっかりしているところへ、庭に気配がしたので簾を開けてみたら、葡萄棚の上になにやら茶色い固まりがもそもそしている。こちらに背を向けてひたすらもそもそしている。距離は二メートル、固まりが振り返ってこっちを見た。まるまる肥った猿だった。 「うりぁー!」とこちらが威嚇したら、猫のように「シャー!」と牙をむいて威嚇し返してきた。 近くにあった棒きれで棚をたたくと、素早く塀の向こうに消えた。 猿はひたすら、熟れはじめの葡萄を食っていたようだ。猿が手を出していたあたりの葡萄を食べてみると、もう十分甘い。ナスや胡瓜など、もうそろそろ収穫という日の前日当たりに、必ず野生の獣類にやられる、熟す時期をよく知っていると、何かで読んだことがあり妙に納得してしまった。 その日の晩、食後の口直しに猿の食い止しを食べた。
産経新聞の連載に、日本アルプスに記者が取材し、霊峰の勇姿を載せている。断然山派なので嬉しく読んでいてしばし、顔が引きつった。ある意味、山は神さんのいる所と思っている。一人で山に入って夜テントでいる時などは独特の存在を意識する。 そういう場所に、ずかずかと外国人が大量に押し寄せることに言葉では言えないがとても抵抗がある。 外国人と言っても、特定アジア人と一部ではいわれている人々が、日本山岳の顔である上高地に押し寄せ、さらに一般の観光客は行かない上部の涸沢まで押し寄せている。その押し寄せかたの尋常でないことは、涸沢小屋や、ヒュッテの料理や飯までに、影響を与えているらしい事からもわかる。
彼の国の人たちが大人しくしていればいいが、彼の国からわずかな時間でいける対馬に見るように、ゴミは捨て放題、食堂に自分の食い物を持ち込む(山では許されるが) 大声で話すなどやりたい放題をしていることがある。 上高地へはここ何年か行っていないが、 いくら商売になるとは言へ、山小屋の晩飯にキムチやチゲが並ぶなんてなぁ。それに騒がしい涸沢は想像できない。 休山男としては暗鬱たる気持ちになってしまうのである。
→2002年の今日のたん譚
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