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2004年02月03日(火) |
映画「タイムライン」に見える米国の言い分? |
またまた、でた、米国のプロパガンダ映画(と見える)。粗筋はニューメキシコに、不審な状態の人間が病院に担ぎ込まれ死んだ。それのレントゲン写真が臓器、血管、骨格など、あらゆる組織が断層のようにずれ、欠損していた。
同じ頃、フランスの南西部*ドルトーニュにある、修道院の発掘現場。14世紀の地層から、現代の製品としか思えない眼鏡のレンズ、そして“HelpMe”と書かれたメモが出土した。それは、発掘プロジェクトのスポンサーを訪ねるため現場を離れた後、行方不明になったジョンストン教授のものだった。 近くには、寄り添って横になり、王妃は王の手をしっかりにぎっているめづらしい石棺が発見された。
プロジェクトのメンバーはスポンサーを訪ねる。そのスポンサーは物質転送の技術、(あのスタートレックに出てくる、人間を宇宙船から地上に転送するというあれ。)を荷物・物資をアメリカヨーロッパに運ぶ手段に研究していて、それが、偶然時代を超えて、それも毎回同じ時代、同じ場所(フランス、*アキテーヌ地方)にいってしまう。 教授もどうやら行って帰って来れないらしい。そして、先のレンズなどを遺跡となるところに埋めて助けをこうたらしい…。 何度か行き来する内に、個人差はあるが、先に書いたようなずれが生じ、事故が起きるようだった。
映画の解説は一般の評論家にまかせて、ちがう見方を書いてみる。
プロジェクトの連中がみんなで、量子テクノロジーによって開発したタイムマシンを使って、過去にとんでいく。行くところは固定されていて、1357年のフランスアキテーヌ地方(当時は英國領、現在のボルドー)。 そのジロンド河の支流ドルトーニュ。時代は英仏百年戦争”の真っ只中である。実際の歴史はポワティエの戦い(1356):英エドワード黒太子の活躍、14Cの両国混乱:仏ジャクリーの乱・英ワット=タイラーの乱などが起こって、この後、あのジャンヌダルクが登場して、はれて、英國を追い出して、現在のボルドーの辺りはフランスの物となる。
さて、映画。この時、教授救出作戦に参加したプロジェクトのメンバーの中に、フランス語が出来る男がいる。彼等は転送されてすぐに、イギリス軍に捕まり、先のフランス語が出来る男がスパイと疑われ、みんなの目の前で、あっという間に刺し殺される。男の名前は「フランソワ」であった。
いろいろどんぱちあって、助けに来たプロジェクトの一員の男は現代に帰らず残りフランスと共に戦う。やがてフランス側の王女と結婚し、それが後の現在に遺跡として、仲良く寄り添って手をにぎり合い眠る、石棺の当人達だとわかる。
映画制作時の世界情勢に重ねて解釈すると、アメリカとイギリスがイラクに共同戦線を張っているときに反対しやがって!と言う思いをこめてだろうか、フランス語が出来るフランソワが殺されることで警告がなされる。また、仲良く手を沿え寄り添った石棺の意味は、フランス(王女)はアメリカ(現代から来たアメリカ人、王)に寄り添わなければ、やっていけないよという、メッセージだととれた。 かどうか、現在フランスは協力表明している。
それにしても、最初にフランソワという名前の人物が、あっという間にイギリス人に刺し殺される場面にはびっくりした。名前がフランスそのものの「フランソワ」なんだから露骨すぎる。
ところで、この手の映画や小説には必ず問題となる、*タイムパラドクスは一応横に置いておくらしい。
*ボルドー(Bordeaux) ボール・ドゥ・オー、つまりBor-de-aux「水のほとり」という言葉がもとになって出来た地名。古くは、アキテーヌ(水の真ん中)と呼ばれていた。
*ドルトーニュ ワインの産地ボルドーを流れるジロンド河の南西の支流ドルトーニュ河辺。(ここの東岸沿いには、優れ たワイン産地であるサン・テミリオン地区(St-Emilion)やポムロル地区(Pomerol)、などがある)
*タイムパラドクス 「時間を遡って結婚前の親を殺したらどうなるか」といった“タイムパラドクス”と呼ばれる奇妙な問題。
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