ちょっと、仕事で嫌なことがあったのですね。
いやなことっていうか。
新入社員の男の子。
仕事中寝る、起こしても寝る、はたいても5秒後には寝る。 仕事出来ないのに、学ぼうという気がないし、 教えてもらうことがあたりまえで、 教えてもらわないことはやれなくてあたりまえ。 どれだけ自分が苦労して、どうやって習得したかを話しても ちっとも聞く耳もたなくて、それ以前に人の話を聞かないし。 残業時間になったら、音楽聴きだす始末。 注意したらその場は止めるけど、人が見てなければおんなじことをやる。
資格はいっぱいもってて、頭が悪いわけじゃない。 ただ、知識はあっても常識がないというのか。 学生気分が抜けきらないというか。
何度注意しても聞かなくて。 どうしてそれを怒るのか、理由を聞かせても解ってくれなくて。
わたしが来たら、さっとやめようとするってことは、 悪いことだってわかってるってことでしょう。
情けなくて頭にきて、こうなったらこっちもその気になろう。 もう何も教えない、聞かれても最低限の受け答えしかしない。 雑談だってしない。
だけど。 そうやって、意固地になればなるほど、 気はいい、ただいい加減なだけの新人の挙動を、許してあげられない自分に頭にきて。
なんだか仕事以外で倍疲れて、その日も夜中近くに地元の駅に疲れた気分で駅を降りたのです。 同じように疲れた人々によって、タクシー乗り場で行列の出来るいつもの駅。 だけど、それはいつもの人だかりではありませんでした。
いつもならありえない人の数。 その沢山の数の人間をだまらせ、冬の空気を含んだ冷たい空気をゆらす、透明な女性の声。
女の人が、とてもとてもきれいな声で、世界を変えていました。
奥華子さんという、千葉の船橋出身のシンガーソングライターが、 路上ライブをしていたのでした。
音楽というのはすごいですね。
その透明な、なにかの方向性を持つ振動に包まれていたら、 怒っていたことや、それと同時に悲しくなっていた気持ちが洗われました。
自主制作のCDも、出てる4枚全部買って、 サインまでもらって、握手してもらって。
暖かなぬくもりに、元気までもらって。
うん、月曜日、会社いったら、もうすこし笑ってやろう。 どうして怒ってるか、もう一度ちゃんと話そう。
今出来ないことが重要じゃなくて、 今後出来るやつになってくれるという、 ただ希望さえ与えてくれれば、なんだって教えるってこと。 もう一度、解ってもらおう。
音楽の力って、 やっぱり すごい。
やっぱり、わたしはわたしを、嫌いになりたくないし、 不器用だけど、多分手の届く範囲のほんの一握りの人たちと、 上手くやっていきたいと思うけど、ちょっとのことでわだかまっていて そんな気持ちを、さっとキレイにしてくれるなんて。
うん、また仕事、がんばろう。 いろいろ上手くいくと、いいな。 頑張ります。
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