2008年01月08日(火)
 『存在』 尾崎豊

ごめんねー。

不義理にすると電話に出るのやメールの返信するの、
勇気がいるもんなんだなぁ。大好きなお友達なのに。
電話もメールもありがとー。とってもうれしかった。


何があったか、はとてもいいにくい。

でも、すごく貴重な時でした。

やっとたくさんの本当の気持ちを知ることができて
そのことから私は自分自身の色々な部分を知ることができて
部分的にはへこむっていうよりは、晴れた、と言える感じ。
小春日和なこのところの空のように、すこーんと抜けた青空。

あぁ、腑に落ちるって表現が近いかな。

できたらもっと早く聞きたかったな。

それは話してくれたひとのおもいやりややさしさだと分るので
責められないけれど、でも私はいつもなんかひっかかっていて
ちゃんと話してくれるのをずっとずっと待っていたんだもの。
辛いことなのに、話してくれてとってもとってもうれしかった。
ありがとう。


そして私は、なーんもわかっちゃいなかった。


話をしてからこの数日間で、様々な出来事や感情がリンクしました。
なんであの時あぁだったのかとか、何よりも私自身の矛盾が収束していく。
記憶の引き出しが次々と開いて、気持ちが安定していく。
過去にひとに言われて、それがどういうことかわからなかった部分を知る。

とても辛い出来事だったのに、何故かそれによって心が解放されていた。
たくさんの傷が絡み合って、すっかりこんがらがった私の手におえない
それは、もうどうしようもないものだとはんば諦めていたことだった。


ぶっちゃけ、何十年も何やってたんだよきみちゃん!って話です。
でもこれは、私にとっては大きな革命です。

いつものようにわかりにくいから、書くかやめるかまだ迷いながら
本当はこれより先に話してくれたひとに伝えなくちゃいけないことが
あるのだけれど、あやまらなきゃいけないことがあるのだけれど、
そっちはまだ、私の中ですべて言語にするのは不可能だから
後回しにして、やっと言葉にできたこの気持ちだけ残しておきます。

やーいつものぐるぐるなんて、大事みたいに書いてるけど表層なのね。

本当に私は、なーんもわかっちゃいなかった。




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私の中にいる膝を抱えて座り込んだままのちいさな女の子。
助けたいのに助けだせないことにずっとずっともがいてきた。

なんだ。

鍵を掛けたのは他でもない、臆病な、この私じゃないか。



私の強すぎる恐れが、私の最も恐れていることを現実のものとさせていた。
私自身が私を「そういう存在だ」と思い続ければ、言い続ければ、
私はそういう存在になってしまうのだ。

それは薄々感じていたけれど、私には止めることができなかった。
もうこれは逃れられない魔女かなんかの呪縛なんだと思っていた。
自分じゃどうしようもないんだと思ってしまっていた。

そしてお姫さまが王子さまのキスで目覚めるように、
いつか誰かが救い出してくれる夢をみていたみたいだ。


そんな夢をみながら、私は小さな女の子を
自分の中に置き去りにして、壁を塗り固めて頑丈な鍵を掛ける。
新しく生まれた傷もそこに押し込んで、全部その女の子に引き受けさせて

現実の私は、私たちを生かすために毎日がんばる。
日々悪戦苦闘する。

だってお腹が空くんだもの。

泣いてても誰も助けてなんてくれないし、何かを待ってても衰弱するだけ。
私は自分で自分を生かして食べさせて、笑わせてあげなくちゃならない。

だから閉じ込めた。
ちいさな女の子のままじゃ、生きていけなかったから。
私を笑わせるために、幸せにするために、どんどん塗り固めて
大丈夫なことにして、日々悪戦苦闘する。

それでいて、なりたい私にちょっとでも近付きたくてきれいになりたくて
こんな土台のないところに積み上げてできているのが今の自分。


なんだか軽く解離性障害みたいだよね。
あの小さな女の子は別人格みたいじゃないか。
あの女の子こそが、元々の私自身だというのに。


傷付かないために、様々な予防線を張る。
私の予防線は、有刺鉄線でできていたみたい。
その鉄条網は、私の中に入ってこようとしてくれた
大切なひとを切り裂いて、逆に傷付ける。

もー王子さまもなにも、突っぱねて追い返してるの私じゃん!

いっつも私。

ぜーんぶ私。




でもでもでも

何もかも私が悪い訳でもない。


ただ、知らなかっただけなのだ。
例えば自分の許し方を。

本当にただ、不幸な自分の生い立ちをちゃんと認めて、
大人の事情なんかちぃせー子供にゃわかんねーよバカヤロー!!!
って怒って、それでも彼らを許すこと。

お父さんもお母さんも大好きだし悪くない、私が悪いんだ
(それにしてもどうしてそう思うんだろう…不思議だよねぇ。)
って思ってしまうあのこに、それはきみのせいじゃないんだと教えて
あげないと、本当には彼らを許すことにはなってなくて
彼らを責めないからって許してることにはならなくて

私はまず、自分を許さなきゃならなかったのだ。


嵐のような耐えられない悲しい出来事はその不幸をちゃんと嘆かなきゃ
いけなかった。運命でもなんでもなんで自分がこんな目に合わなきゃ
ならないのか怒らなきゃいけなかった。嘆くだけ嘆いて、辛かった怖かった
ってあの時ちゃんと泣けばよかったのに、私はすぐに感情をなくした。

その時私は、これは自分自身への罰なんだと思ってしまった。
耐えられる訳のないその苦痛を受け入れようとしてしまった。
そんなの受け入れられる訳ないのに。
これは罰なんかじゃないと、わからせてあげなきゃいけなかったのに

私はまず、私が許せなかったのだ。


そしてまた同じことが起こってしまっても耐えられるように予防線を張る。


子供がひとりでは生きていけないこと、自分自身を守れない非力さ。
そーゆー自分が許せなかった。
多分どうにもならないことなのに、私は私を否定してしまう。


そして、私自身が私自身を否定し続けても
親切にしてくれたひとはたくさんいて、
それでも私を好きだと言ってくれていたのに
そっちを受け入れなきゃいけなかったのに
私はちっとも話を聞こうとしてなかった。
救われるはずもない。


そういう手を差し伸べてくれたひとには、
その手を払いのけたり噛み付いたりせずに

めいっぱい感謝して、とにかく感謝して

時には少し甘えてもよかったんだっていうこと。



そう、そうなんだ。
甘え方が間違ってた、私。

だってちゃんと甘やかして貰ってないんだもん!
仕方ないじゃないか。


でもね、私が閉じ込めなければ、あの女の子はそれもちゃんと知ってるの。

そう、すっかり忘れてた。
あのこは、あんなにみんなに愛されてたじゃないか。
もー恥ずかしくなるくらいに愛されてたじゃないか。

辛いことばっかりなんかじゃなかった。
あのこを「可哀想な子供」にしたのは、私自身だったんだ。





私の中でうずくまっていた小さい女の子が、むくって顔を上げる。
ずっと暗闇だとばかり思っていたその場所はいつの間にか外で、
そこには気持ちのいい風が吹いていた。

彼女はにっこりほほえんで、私に手を差し出す。
私は彼女の手を取って、立ち上がらせる。
ごめんねって謝って、抱きしめる。

そしたら彼女は大人びた口調で私に言った。


「そんなにがんばらなくていいんだよ」


気持ちのいい風が吹く場所を、彼女と手をつないで歩く。
彼女は「お迎えが遅い」と怒っている。


えーーー。

私、一生懸命きみを守って、きみにごはん食べさせてきたんだよー。
なんで怒られるんだよー。いやそりゃさぁ(ぶちぶち)


…根本的なところで、やっぱり私は、私らしい。


ずっと座り込んでたから、歩き方がまだ少しぎこちない。

でも、これが私。

しばらく歩いてふと気付く。

小さな女の子がいない。
まわりをみても、私の中を覗き込んでも、いない。



だってそれは今ここに存在する、私自身なんだもの。



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