2001年05月19日(土)
 『Hello , Again〜昔からある場所〜』 MY LITTLE LOVER (サッカー/カシマ増築柿落)

初めてあの場所に訪れた時のことを、私は今でも鮮明に覚えている。
テレビで観ていたその白い屋根や緑の芝生は
私が今まで出掛けていたスタジアムに比べると段違いに思えた。
画面の中の尊敬する選手のスーパープレー、
そこは、私にとっては憧れの場所だったのだけれど
出掛ける機会はJ初年度にはなくて、
やっと訪れることができたのは2年目の、よく晴れた日だった。

外観を観た時から鳥肌が立った。
やっと来れたといううれしさとスタジアムの美しさに、
すごいすごいと歓声を上げながら入場。
そして中に入ると、しばらくの間静かに呆然と立ち尽くした。
それまで出掛けたどのスタジアムよりもフィールド全体が観やすくて、
こじんまりしてて、選手がすぐ近くに感じられる臨場感があった。
青々と茂った通常より長めに刈った芝生は、きらきらとお日様を浴び
ありきたりな表現だけど緑のじゅうたんと呼ぶにふさわしかった。

一目ぼれって、こんな状態なんだと思う(苦笑)

もぎりも警備も地元のおじちゃんおばちゃんらが仕切っていたせいか
シミスポのにいちゃん達と違ってチームに愛がある分温かく迎えられ
アクセスに少々難があっても、オーロラビジョンがなくっても、
訪れた瞬間から、私にとっては別格で一番好きなスタジアムになった。
(それでも"聖地"はやっぱり国立競技場なんですけれどね)

あまりに素敵だったので、私はその後、
そのスタジアムで結婚式をあげる夢までみちゃったのだ。
あのふさふさの芝生に真っ白なウエディングドレスで
白昼に式をあげる私は、式の真っ最中だというのに
急にハイヒールじゃ芝を傷めちゃうということに気付いて慌てて
尊敬するスター選手が神父として何やら言ってるそのさなかに
そおっと、こっそり、ドレスの裾を持ち上げてみる。
さすが私、ちゃーんとスニーカーを履いていて胸をなで下ろす。
そんな、夢。

神父様ばかり見ていて相手を全くみていなくて
更に言うなら友達に話して「で、相手は誰だったの?」
と尋ねられるまで誰だか判ってないということにさえ
気が付いていない、というところがまた私らしいのですが(苦笑)


そこは県立カシマスタジアム、
尊敬する選手は、当時まだ現役だったジーコ様。


あの日と同じく、太陽が眩しく照りつけていた。
生まれ変わったその場所の全景は、あの日のようなときめきこそ
なかったけれど、圧巻だった。私は、それより大きな競技場に
何度も何度も足を運んでいるにも関わらず「でっけー!」なんて
連呼しながらスタジアムの外周を半周。
入場してせっせと階段を登って初めて足を踏み入れた2階席、
チケットを見て席の番号と入り口を確認して中に入る、と・・・


なんていったらいいんでしょ、風がね、吹いたの。
思わず「うわっ」て声が出た。


動線はあまり考慮されてないらしく通路がちょっと狭めで
立ち止まるとご迷惑になるという感じだったのだけれど
立ち止まって見渡さずにはいれなかった。
・・・きれい、本当にきれい。

生まれ変わっても、私が大好きだった1万6千人収用時代の
雰囲気はちゃんと残っていて、だけど全然違っていて、

全くもう、見違えるように立派になっちゃって・・・。

購入が出遅れたから席はコーナー付近だったんだけど
やっぱり例えコーナーでも、試合は見やすかった。
途中から降り出したどしゃ降りも、全体の3分の2を覆ってる
その屋根はほぼ完全に私を守ってくれた。

チケット購入時点で"日本では生観戦未経験"だった今回の同行者は
滞在していたのが香港という土地柄だったせいかプレミアの試合を
メインに見ていて、テレビで観るイングランドのスタジアムは
憧れずにはいられない程にどこもかしこも素敵なものばかり。
最初に変な場所連れていったら、もう一緒に観戦に行ってくれない
位がっかりしちゃうんじゃないだろうかなんて変に気にやんでいた
私は、ターゲットをこの改装後の柿落としの試合に定めた。
(結局2週前にふらりと国立のエスパ戦みちゃったんすけどね)
ここなら大丈夫、増築後の確認はぜずとも、自信はあった。

そんな私の予想以上。思い入れもあったし、
我がことのように私はこの競技場を誇りに思えて、
そして、興奮して夢中で喋った。

ここでW杯が開催されるんだよ!
すごいよ、これだったら本当に胸張って世界中のひとを
迎えられるよ、フランスの時だってここより大きくて
いいスタジアムなんてサンドニとマルセイユだけだもん!
私、10会場全部制覇してるんだから!すごい、すごいよ!

ってね。

スタジアムの周辺には何もないし
やっぱりアクセスは相変わらずにそう便利ともいえない。
でも私は、やっぱり今のところ世界で一番好き。

どんなに労を費やして芝の管理をしているか
苦労話を聞かなくてもひと目で判る。
こじんまりしていた頃から、いつだって増築できるように
けど最初は身の丈を考えて建設されていたから
決して間に合わせなんかじゃないってことも
あの場に行ったら感じて貰えると思う。

・・・どっかの県とは大違いだ(ぼそ)


そして試合は、システムや戦術はめちゃくちゃだったけど
久々にかつて私が応援していた頃の鹿島がみられた。

この多くの地元サポーターを詰め込んだ柿落としのスタジアムで
初勝利をあげるのは絶対アントラーズであるべきだっていう
思いが強くあって、私は心から鹿島を応援していた。
スタジアムの雰囲気にのまれたのか完全中立派のはずの
同行者までも「開幕記念の真っ赤なアントラーズビブス」
着用の上すっかり鹿島寄りになっていたし(笑)

私の知ってる鹿島は決して勝負を諦めず
最後まで何かが起こりそうな、そんなチームだったのよ。

まずはどんな形でもいいから期待に応え、勝つこと。
そして非難囂々な時にも能力があると庇い続けてきた
柳沢が2得点って結果を出したのがよかったし
(結局エースが点取りゃ勝つ、そういうもんなのよ)
決勝弾がJ初年度から所属し、どんな時も鹿島サポーターに
愛されてきたすっかりベテランになったハセのヘッドだった
ことが、本当、柿落としに花を添えたと思う。

すごくすごく、行ってよかった・・・。


余談:東京スタジアムの開幕もチケット売り切れのわりに
入場者数が・・・だったんだけど、柿落としってそーゆーもん
なのかなぁ?招待者さんとかに配券したりした影響なんでしょうが
・・・っていっても、鹿島の場合ホームタウンの人口考えたら
充分、めちゃくちゃすごいんだけどね。


2001/05/19 16:04キックオフ 県立カシマサッカースタジアム

鹿島アントラーズ (3V-2) 柏レイソル

0 前半 1
2 後半 1
1 延長前半 0

【入場者数】36,365人【天候】曇 23.0℃ 53%
【主審】松崎 康弘【副審】手塚 洋/今村 亮一




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