2002年08月02日(金)
丑三つ時に聞こえてくる金属音・・・
夜のとばりが落ちる頃になると、 しとしとと雨が降り出した。
イヤな雨だな・・・
この土地の夏はかなり寒い。 「やませ」などと言う風が吹き、 秋の収穫を台無しにしてしまうことも、しばしば起こる。
したがって、朝晩だけ雨が降ることなど、 そんなに珍しいことではないのだ。
しかし・・・
イヤな雨だな・・・
今日の今日に限って、 なぜか背筋がゾッとするような感覚がある。
何となく家に帰るのをためらって、 後輩のいる部室で無為な時間を過ごしていたのだが、 その後輩もそろそろ帰宅の途につくらしい。
我が家に戻ろうと、 重い腰を上げ、自転車にまたがった。
雨は小雨だ。 冷たい雨だ。
Tシャツは少しずつ湿って重くなり、 腕には水滴が付き、 周囲の水滴を集めて徐々に大きな水滴へと変わって行く。
イヤな雨だな・・・
理由はわからない。 理由はわからないのだが、ナゼかイヤな予感がする。
泥が跳ねるのは癪なのだが、 この感覚にこれ以上触れていたくなかった。 自転車を踏む足に力を込め、 逃げるように家に飛び込んだ。
紅茶でも飲もうかな・・・
少し落ち着きたかった。 甘い紅茶でも飲めば気が紛れるだろう。
けれども・・・それは叶わなかった。
布団の中に入っても、 背筋のイヤな感覚は消えずに続いている。
風邪か?
そう思って熱を測ってみたものの、 体温計の数字は平熱を指し示していた。 体調には全く変化がない。
寝苦しい夜ではない。 むしろ涼しくて、眠りにつきやすい日だ。
いつまで経っても、 瞼が重くなる気配すら起こらなかった・・・。
カラ〜ン。
・・・ん?(汗)
カシャンっ!
・・・何?(大汗)
夜中にはそぐわない大きな音に、 何事かと目を覚ました。
ガラガラガシャン!!
( ̄□ ̄;)!!
家の外だ。
アパートの庭の方から、 高い金属音が鳴り響いている。
すぐに窓を開け外を見ると・・・
なんだ?
なんの気配もない。 あるのは真夜中の静寂と、まだ続いているしとしと雨。
まさか・・・(怖)
さっきからのイヤな感覚もある。
ゾッとした背筋にダメ押しを入れるかのように、 時計は丑三つ時をさしてもいる。
慌てて窓を閉め、夏だというのに布団をかぶった。 顔でもあったら・・・ そう思うと天井すら見る事ができない。
カシャーン!
再び金属音が鳴り響き始めた。
締め切ったハズの窓をすり抜けるかのように、 ダイレクトに頭に響いてくる音・・・
ダメだ・・・ もう我慢できない・・・
来るなら来い。 正体をしっかり見極めてやる。
恐怖に気が狂いそうで、既に限界に近かった。
半分やけくその開き直りを心の奥に据え、 金属音のなる瞬間に窓を開け放った。
すると・・・
( ̄□ ̄;)!!
我がボロアパートは、依然外装工事中だ。
アパートを取り巻くように設置された金属製の足場に、 屋根から雨粒が落ちてくる。
ポタリ・・・
カシャ〜ン♪
足場の金属板は、 雨雫が当たるたびに良い音を奏でるのだった・・・
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