DAY
私の日々の下らない日常。
最近はマンガばなし。


*web拍手*

2004年02月05日(木) 「王の帰還」

いつになくテレビドラマを見ている今クールですが(いつもはひとつも見ない)、「砂の器」「僕と彼女と彼女の生きる道」「相棒」みんなそれぞれ面白くていい感じです。それから映画もたくさん観てる。

実は私年末にタイに行った時、「王の帰還」を観たのです。タイって日本より全然公開が早いんですよ、びっくりしました。
当然オリジナル音声ですがそんなに難しくなかったので問題ありませんでした。今度の土曜日に先行に行く予定なので、それを前に一応第一回目視聴時の感想を書いておきます。
当然ネタバレ全開です。



第一部のタイトルバックみたいな綺麗な場所から始まる。
小さなボートに乗って釣りをしているのがスメアゴルとその友達。うっかり池に落ちてしまったその友達が見つけた指輪に一目で魅入られたスメアゴルは抵抗する彼を絞め殺してしまう。
つまりゴラムはその初めから殺人者だった。一時は回復の兆しを見せたものの、今でも彼は指輪の奴隷でしかない。虎視眈々と指輪を狙い、それに気が付いているサムと敵対する日々。ここでフロドがさー同じ指輪を手にした者として下手にゴラムに同情的だから不味いんだよなー。もうこの第三部は『サムの受難』というサブタイトルを付けたい気分だ(死)
この最初のシーンとかほとんどスリラーの域なんだよね…全体的にピータージャクソンの我慢が効かなくなって来た感じしたな(笑)それと、指輪の力の恐ろしさを凄く強調してた。

アラゴルンとアルウェンの再会シーンは良かったなあ…今まで見たラブシーンの中でも指折りだと思う。
エルロンドに「彼と居てもその先にあるのは死だけだ」と言われて一度はアラゴルンと別れたアルウェンだけど、父譲りなのか森の中で年老いたアラゴルンと彼と戯れる男の子の姿を見て引き返してしまう。
それで親父さんに「残るのは『死』だけっていったわよね?私の息子のことは黙ってたの?!」と詰め寄るわけです。まあ親父さんの気持ちも分からんでもないんだけどね…。
でも本気で恋する女は強かった。「そこに生があるのなら。今ここで彼を諦めたら、私は永遠に後悔する」と言ってとうとうエルロンドを説得してしまうのです。そのままでいれば永遠に生きられるエルフたる彼女だからこそ、"forever"という言葉にも重みがあるよね。
ここで「娘が選んだ男ならば…」とばかりにアラゴルンを手助けしちゃうエルロンド様が好き(笑)
再会はずっと後。このまま終わっちゃうのかと思ったよ。アラゴルンが歌ってた曲って、エクステンデットバージョンで歌ってた人間に恋したエルフの歌?王の即位式、アラゴルンはアルウェンは行ってしまったとずっと思ってるんだよね。(それでもちゃんとエオウィンは振ってるけど)共に戦った人たちを顔を合わせる中、久しぶりの正装を見せるレゴラスの後から、エルロンドに付き添われて、旗で顔を隠していたアルウェンがアラゴルンの前に姿を現わす。
アラゴルンは思っても居なかったことに驚いていて、そして多分今此処に彼女に居て欲しいと思ったことが現実になって信じられない。彼は確かめるようにアルウェンの顎に手をやって顔を見ようとする。アルウェンは多分、アラゴルンに拒否されるのが怖いんだろうな、顔を背けようとするけど、アラゴルンはさせない。じっと彼女の顔を見つめて…そして彼女にキスをした。腕とか回す前にいきなりキスなんだよね。何かもう、本当に想いが『溢れ出て』しまったのが凄く分かってぐっときたなあ。その後のアルウェンの嬉しそうな顔!もちろん周りも大歓声だし(笑)。あー早くもう一回観たい。ヴィゴ・モーテンセンて本当に演技上手だなあ…。


最後のフロドとサムの別れのシーン。
あの額へのキスに2人の万感の想いが込められていたんだと思う。
なんだろう、敬意とか感謝とか友情とか信頼とか哀しさとか絶望とか。本当に色々な感情をあの2人は共有していて、それなのにもうそれを過去にするしか道がなくて。
いっそマウス・トゥ・マウスのキスだったとしても、セクシャルな感じや違和感はなかったんじゃないかとすら思う。それだけあの2人の間にあるものって色々なものを超越している。そして乗り越えたその先に辿り着いた場所は、ただ純粋な『愛』だったじゃないだろうか。何かもう、凄いきれいだと思ったもの。前のアラゴルンとアルウェンのキス、アレは完全に『恋人』のキスで、それはそれでとても美しいんだけど、フロドとサムのこの額へのキスも世界で一番うつくしいもののひとつだったんじゃないだろうか。


誰かと何かの形で繋がっていたい。
観終わって、そういうことを強く感じた。
ロード・オブ・ザ・リングの一番いいところは、あのバランス感覚の良さだったと思っていて、正直それは今回損なわれていた気がする。でも三部作のクライマックスって言うエネルギーがそのマイナスをカバーして有り余っている感じ。全体的に演出がドラマチック過ぎた気はするけど。後フロドのマトリョーシカは正直笑ったわ(笑)
個人的にはアカデミーアワードをサム役のショーン・アスティンに捧げたい。


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黒沢マキ [MAIL] [HOMEPAGE]