うちの母は田房さんのお母さんのような、いわゆる“毒親”ではない。
むしろ、たぶん我が子想いの良い母親なのだろう。
でも、私は子供の頃から母のことは好きになれなかった。
「嫌い」とまで強い気持ちはない。ただ、「好きになれない」。
そんなだから、母に対して「愛」は感じていない。たぶん、もっとも適確な感情は「情」だと思う。
それでも、“毒親”ではない以上、母への私の感情は、世間一般的には受け入れられないものなんだろうなあ。
「良いお母さんなのに贅沢な」
そう言われそうだと思ってきた。
Amazonで検索すると、『毒になる親』とか『母を棄ててもいいですか?』『母が重くてたまらない』などなど、やっぱり極端過ぎる母親の本がゴマンと出てくる。
どれも、レビューや書籍概要を読むと、やっぱり自分には当てはまらないような気がして、読んでいない。
こうした本に出てくる娘たちから見れば、「あなたの親は普通の母親でいいわね」「愛情いっぱいに育ててもらって良かったじゃない」と言われてしまうだろう。
そんな風に思っていた時に出合ったのが、この本だった。
やっと自分の状況にぴったり合う本を見つけた。もっと早く出合いたかった、というのが一番最初に感じたことだった。
それにしても、世の中には思った以上に親子の確執が溢れているんだなあ。
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