西方見聞録...マルコ

 

 

書評「暗いブティック通り」 - 2014年12月20日(土)

過去日記

2014年度ノーベル文学賞を取ったパトリック・モディアノの「暗いブティック通り」が町立図書館にあったので借りて読みました。「冬のソナタ」の脚本家に影響を与えた物語、というのですが、主人公が記憶喪失って以外はあんまり関係なかったかも。

同時に偶然なんですがこのとき村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼年」が書棚にあったのでこっちも借りました。ノーベル賞を取れた方と取れなかった方と、って感じで読み比べてみました。本作には「冬のソナタ」より、「多崎つくる」の方がお話のモチーフが似てたかも。失われた記憶、過去にあった主人公から見えない出来事が少しずついろんな人の語りから見えてきて、最後にそこで起こった悲劇が見えてくる。

でもテーマとして、パトリック・モディアノの語るパリの華やかな暮らしと異郷からやってきた者の政治混乱時の寄る辺なさとそれでも幸せに生きる道を見つけようとしてかなわなかった哀しみが大変切実に感じられました。


個人的な好みですが、私は村上春樹の普遍的な物語より、パトリック・モディアノの今日的なメッセージに心惹かれました。

今パリで寄る辺なき思いを抱いている異国にルーツを持つ人々におもいを寄せながら。


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