西方見聞録...マルコ

 

 

映画評「ジョン・ラーベ:南京のシンドラー」 - 2014年11月24日(月)

観てきました。関西初公開の「ジョン・ラーベ」@神戸アートヴィレッジセンターにて。

1937年12月、南京市内に「安全区」を設定して押し寄せる日本軍から南京市民20万人の命を守ったドイツ人ジョン・ラーベの視点からみた南京大虐殺が描かれます。


海外では2009年の制作当時、映画賞も受賞し、普通に商業映画としても流通した作品ですが日本では映画配給会社が買い付けなかったため、5年間にわたって未公開だったものが今年春東京の江戸博で公開され、その後も自主上映の形で少しずつ、公開が進んでいます。⇒今後の2014ー15年自主上映日程

しかし、それにしても題材が南京大虐殺ってだけでこの映画が商業ベースで流通できなくて、自主上映で見なきゃいけないっていう今の日本の社会の空気はかなり異常だなあ、というのが見ての感想です。

いろんな説があるし、フィクションの部分があっても、ちゃんと平常心で見て議論が出来ない。とても怖い社会を、そして偏った情報しか流れないように自主規制された社会を生きているのだと自覚させられる体験でした。

映画はいろいろと考えさせられ、普通に興味深い内容になっています。もしお近くで上映会の機会があったらぜひご覧になることをお勧めします。

欧米から見た南京大虐殺ってことでもいろいろ感じました。南京市安全区を作った欧米人たちがヒーロー・ヒロインとして描かれていて、ジョン・ラーベをはじめ、フランス人の女性教師、ナチス嫌いのアメリカ人医師、そしてユダヤ人を祖母に持つために苦難の道を歩むドイツ大使館員ローゼン博士と大変魅力的な面々がどれだけ多くの人の命を救えるのかぎりぎりの選択を迫られます。個性的な選択肢が用意された欧米人キャラクターと比べると、アジア人キャラクターの中では唯一ARATA(現・井浦新)がその立場からは難しいんじゃないってほど個性的な選択をする顔のあるキャラクターとして描かれます。もうちょっと中国人キャラの運転手のチャンさんや、シーメンス社副社長のハンさんにも個性的な選択をする場面が用意されたらよかったのにな、と思いました。この辺の中国人ヒーローの不在に関しては、同じ年に公開された中国人監督、陸川による「南京!南京!」との比較されたこのブログが興味深いです。こちら

また香川照之演じる朝香宮が怖い!大迫力です!こんなコワイ、そして実力を備えた宮様がいたんかいな、ってのが、現代日本史観ですが、実際朝香宮の伝令が捕虜大量虐殺を伝えたという説があり、海外ではそれが普通に流通しているということも私たちは知るべきだと思いました。もう今回は永田さんのブログ青空帝国の引用しまくり⇒こちら

また、ナチス党員であることを最大限に利用して中国の人々を救ったジョン・ラーベは戦後ナチス党員であったことから本当に不遇の晩年を生き、貧しさの中で1950年に亡くなったと言います。そんな意味でも中国におけるナチスの描かれ方も非常に興味深いです。

ぜひいろいろな史観から私たちの祖先がかかわった歴史的事実を相対的に見つめられるようにしたいと思います。最後にジョンラーベのお孫さんが日本公開に向けてメッセージとして送ってくれた周恩来のことばをここにも書いておきます。

「最悪なのは無知ではなく
偽りを真理とすること
真理を解ろうとしないこと」

(周恩来, 1970)




      


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