火を見て喜ぶのはだれか - 2012年01月07日(土) さて、前回の日記でヘイトスピーチの最近の盛り上がりの背景としての<絆>を求める社会の不安について書きましたが、ちょっとだけフォーカスをはずして日韓関係の今日的意義についてちょっとだけ考えてみようかな、とおもいました。 年明けの講義で地域統合論のお題でアジアの経済共同体つくりの歴史的展開について講義したので(いや分野違いなんですけど、多文化な状況が生み出される前提としての人の国際移動がどうして起こるのか、今後どういう動きが予想されるのか話したのですな)ちょっとそこから思ったことを。 東アジアで自由貿易圏(そこから経済共同体とか共通通貨圏とか様々なプランが展開しうるわけですが)を作るというのは自民党時代から延々と行われてきた作業でこれについては自由化できる国と出来る分野でこんなかんじで話し合いが続いて、人・モノ・サービスの往来の自由化が続々と行われています。 東アジア地域の自由貿易圏つくりは<APT=アセアン10カ国と日中韓(これをアセアンプラス3、APTと呼びます)を軸とした動き>と、<アメリカがそこに如何に関与するかという動き>の2つの軸の間を揺れ続けてきました。まあ具体的にはこんな感じ *1990年のマハティールの呼びかけ(EAEG東アジア経済グループとかEAEC東アジア経済協議体) *1995年末の橋龍のアセアン歴訪時の「アセアンプラス1の自由貿易圏の提唱」 *1997年のアジア通貨危機の折に実体化していったアセアンプラス3経済協力体制(通貨スワップ協定とか東アジアビジョングループの設定) *東アジアサミットの定例化と域内における貿易の自由化実現を目指したタイムスケジュールつくり *アメリカの意向を受けた日本のAPTT提案(アセアンプラス3プラス3、アセアン10カ国と日中韓にさらにオーストラリアとニュージーランドを加えた16カ国の枠組みつくり) *鳩山政権の東アジア共同体(APTもしくはAPTTでの)提唱 *菅・野田政権による環太平洋枠での自由貿易圏TPP参加検討 おそらく既に実体を持っているAPTを核にした自由貿易圏への参加を進めるにしろ、激しく揺り返して来たアメリカ関与枠=TPPに参加するにしろ、(白石隆さんは朝日新聞の今年1月5日のオピニオンで多分両方に参加することになるんじゃないかと予測していましたな)止まらないグローバリズムのインパクトからプラス面を引き出すためにはこれからの各国は物凄い交渉力が必要になってきます。 日本がこういう自由貿易圏に関わる枠組みつくりのテーブルで有利な交渉をしようと思ったらーつまり俗に言えば自由貿易圏の中で「国益」を守ろうと思ったら、国の大きさや人口、抱えている問題(高齢化とか農村過疎化とか)が非常に似ている韓国と協調して声を合わせるのが大事になってくるんでないでしょうか? まあね、正月早々、「排外主義的言説の盛り上がりはCIAの陰謀だ!」とかは言わないけど、でも、日本の国益に反する行為として「排外主義的言説が存在している」ということは認識しておいたほうがいいと思います。 昔から、排外主義者ってのはナショナリストとは異なるって議論はあったよね。 ...
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