![]() |
カーネーション途中経過‐あの頃私がついた嘘 - 2011年12月12日(月) さて、朝の連続テレビ小説のカーネーションが好評のようである(でも私は油断しないぞ、最終回で平手打ち食らわせてくれた<ちりとてちん>の例もあるし)。 とにかくNHKの朝の連ドラでは様々なヒロインが宇宙飛行士だったり、落語家だったり、将棋さし、だったりいろいろな職業に挑戦するんだが、若くて周縁部を華やかしてる分には面白いのだがラスト近くでなんでそうなるの!って感じで仕事を降りたり、あるいは母親を降りたり「いや~もうちょっと子育てと仕事の両立ってみんな普通にしてるから」という突込みで心が張り裂けそうになる展開が多かった。 女の中高年期以降ってのはあんまり絵になるリアルなロールモデルってのが描きにくいんだな。成功するにしろ失敗するにしろ。 そんな中で自営業系の実在の女性をモデルにした作品群は絵になるリアルな中高年期、そして息をするように仕事と家庭を両立させるヒロイン像が描けていたと思う。おしん、あぐり、そして、いもたこなんきんとか。 カーネーションはそっち系の系譜の作品らしいし、これから始まるあの実在のヒロインの3人の娘達の人生をちょっと考えてみるだけでもなんかすごそうだし、今回は見てみようかな?最後に平手打ち食ったりしないんではないか?と期待が持てたので今日、やっと見てみた。(具体的には先週の夫の出征と同時に露見する浮気がすごかったという評判とあと預けるのが難しいほど大変な子どもの描き方がリアル、と大変な子どもを持つ働く母同盟から通報がありましたので) そんで今日は父親小林薫のやけど、おばあちゃん(ボケた?)、いまいち使えん母を叱り飛ばしながら、出産ぎりぎりまで仕事をするヒロインが産まれて来た子に「こんな日に産まれてきてくれてありがとう」という場面だった。 その場面を見ながら私にはちょっとフラッシュバックする記憶があった。私は二人目の子どもを生む前、NGO職員という産前休暇がまともに取れないような仕事をしてた。そんで法律的にどうよ?と思いながらも臨月まで仕事をしてたんである。 例えばラオスの小学校建築のために外務省から受けた補助金600万円分の収支報告書を作っていた。それはラオスキップ(ラオスの通貨はキップです)を円換算して10銭とか10円25銭相当の領収書をかき集めて600万円に持っていく作業だったのだが、もう全然終わらなくて家で夜中の3時頃まで領収書を計算していたら、夫、あめでおさんが起きてきて「あんさんに妊娠中の母体についてのお考えをお伺いしたい」とマジに詰問されたりしたのもあの頃だ。 そのほか自分が主担当をしてた業務を2つも3つも同時進行させ、引継ぎマニュアルを作成するなどしていたがとにかく、全然仕事が終わらない。それなのにどんどん出産予定日が近づいてくる毎日にき~っとなってた。 ちょうどそんなとき、実家の父が脳梗塞で倒れた。脳梗塞で倒れながら、退院してゴルフに行くと言って、父を心配して心臓がバクバクしてた母と喧嘩しちゃったりしたので、わたしは職場を抜け出して二人の様子を見舞いに行った。でも二人ともさくっと仲直りしていて「忙しいのに、そんで妊娠中なのに、わざわざ来させちゃって悪かったね、早く家に帰りなさい」というので、数分だけ病院に滞在してとっとと帰ることにした。病院を出たところで、あめでおさんに電話すると、 「あんさんも心配だろうし、ご両親に優しくしておあげ、今日は遅くなってもええで」と言われた。 そこで私はとっさに嘘をついた。 「じゃあお母さんの愚痴を聞いてあげたいので、一緒に食事していくから、長女1号をよろしくね」 そして私は踵を返し、家とも病院とも違う方向の職場に向かった。そして夜中まで残業して引継ぎマニュアルを完成させた。 あの文化祭の前日のようなワーカーホリックな日々から遠く離れてあの日々はなんだったのだろう、と時々思う。職場に、社会に居場所を失いそうでがくがくしながら、必要とされている実感がほしくて、そして忙しい自分が必要だと言ってもらえているようなのがうれしくて、とにかく祭りを演じていたのだ。確かに狂うほどに忙しかったけど、間違いなくあの時私はあちらこちらから必要とされる自分を確認して喜んでいた。 糸子ちゃんもなんだか物凄い大変そうだけど、きっと仕事も親姉妹も子どももみんなが自分を必要としてくれることによって自分の存在を確認して喜んでるんだろうな、と思いながら今日のカーネーションを見た。 子育てだの仕事だの家庭の不幸だの、重なったときと言うのは大変ではあるが、紛れもなく、陶酔の瞬間でもある、という場面にリアルさを感じつつ、また時々見ようと思った〉カーネーション。 追記、ちなみにこの祭りの陶酔ってのはいろんな方向から必要とされるってところがポイント。一方向からだけ必要とされると、なんだか盛り上がらないの。 追記2、でも現実的にキャリアの途絶を防ぐためにはその多様な「求め」を如何に分散させるかって課題だな~。陶酔している場合でなくて。時期的分散、人的分散、あとどんな分散があるかな? ...
|
![]() |
![]() |