西方見聞録...マルコ

 

 

鳩子さん@pochi29から働く母への3つの質問に答えてみたよ(8月6日朝と夕方、加筆) - 2011年08月05日(金)

 きのうツイッタのほうで鳩子さん(@pochi29さん)からいただいた働く母への3つの質問に答えてみたいと思います〜
第1問<非常時、母のキャリア途絶をせまられた際、その状況を母が納得するためにどんな思想、考え方があるか>

 ふむふむ。

 鳩子さんは具体的に原発の影響による避難、を挙げてらっしゃいますが、子どもの病気(長期)とか夫の転勤とかとかく原発事故に限らず、さまざまな危機は母のキャリアを脅かします。

 でそんなときの対処ですが、「行った先で働き続けること」ではないでしょうか。

 私がその立場だったらですが、避難先の自治体選定の折は支援の充実度とともに保育施策の充実度(待機児童がいないか、保育時間の長さ、病気になったときのファミリーサポート制度通称ファミサポはあるかなど)を勘案して、選定します(役場の福祉課に電話すると割りと親切に教えてくれます。10年前関東から関西に移転するとき、引越し先を決めるために私も、いろんな自治体に、たくさん電話しました)。
 また自分の仕事の求人サイトなどで自分の仕事の求人が多そうな場所を選ぶと言うのもポイントかもしれません。
 そして、移転したら子どもを預けてキャリアを継続させるような場にアクセスし続けることです。移民の社会的地位の格下げはあるでしょうが、(常勤から非常勤へとか学校教員が塾講師へ、主任看護婦からヒラ看護婦へ、正社員から派遣社員など)とにかく移転先での生活が長引くのであればそこでの生計手段を先に子どもと避難したほうの親が確保し、そのつてを頼ってもう一人の親も移動すると言うことは共働き夫婦の場合、可能だと思います。

 私も実際、10年前夫の転勤でキャリアを途絶して関西に移動してこちらでキャリアの再形成をしましたが、そのとき私を支えた「思想」「考え方」は「働き続けると言う決意」です。

第2問その1その2要約すると、<働く母親の世代間格差を親世代が如何に認識しているか主に就業形態と保育サービスについて>ということですね。

 まあケースバイケースでしょうね〜
 文化資本(学歴、親の収入等)は世代間で継承される傾向にあるので母の職業的威信が子どもの代のそれと格差が生じるケースって、、どうかな〜まあ、あるか。
 うちの場合で回答すると、就業形態に関しては、私は母と同じ職業ですし(大学教員という面では一緒ですが、むこうは私の年にはもう専任助教授だったんだよな。わたしは客員、特任、非常勤なんでもします状態だけど、それこそ時代差はあるかも。でもアクセスしている大学が私のほうが偏差値高め設定なので母は「このご時勢にあんたよくやってるわね〜」と割と褒めてくれてるような、、これも同じ業界人だからわかることなんでしょうか?)、あんまり世代間格差がないので答えにくいですね。
 保育サービスに関しては母は保育園にアクセスしなかったので、私の子育ての折に保育園の内部を知って「こんないいものがあるなら、私も利用すればよかった!」と悔しがってました。まあ母は実家も婚家もじじばばそろい踏みの中で子育てしてたんで、関西移転でじじばば抜きで子育してる私のほうが公共保育サービス利用率が高いですかね。公共サービスの充実度は子ども世代の勝ちじゃないですかね。

 ところで鳩子さんの例、、、鳩子さんひょっとしてすごい若者?わたし昭和40年代生まれなんですが鳩子さんの母世代に近いの?
>(例:S30生まれ母が教師、S60生まれ娘が会社員)

第3問<働く母は専業主婦蔑視から抜け出せるか?>

 うわああ、鳩子さん、その設問古いよ。
 働く母親のサイトムギ畑(女性であれば誰でも入会できます)でその質問したら袋叩きにあうよ。

 回答は「専業主婦と働く母の単純な対立軸は現在はない」でしょうか。

  まずその感じは鳩子さんのお母さん世代の専業主婦がマジョリティだった時代のものでしょうね。現代は下の子どもが小学校に入れば専業主婦してる人って超貴重です。(わが町はPTA本部役員女性枠は専業主婦が勤めるっていう不文律があるので、そんで本部役員の選考委員やったことあるので知ってますが、ほんとうに子どもが大きくなるとパート、非常勤が多いですが多くの女性が働き始めます。なので幼稚園卒園したての就業前のお母さんを狙って、本部役員ヘッドハントが行われます)それに男性の就労も不安定になりつつあるので、女性も何らかの就労についているケースは多いです。
 で働いているものの間の格差のほうが複雑でイロイロ大変なんでは?ずっと最前線で働き続けてる人、時短とって働き方を変えた人、契約社員にした人、下の子が小学生になってから非常勤や臨時職で復帰した人、その間でのケンケンガクガクはあるでしょうね。でもそれは職場での問題。地域社会においては、PTA活動や子ども110番の家などの子どもの見守り活動を引き受けてくれる専業主婦の人に感謝し、いつもお世話になってすみません、社会関係資本(地域社会のネットワーク、信頼、規範など)をしっかり形成してくださってるのは地域活動しっかりやってくれてる皆さまのおかげです、と言う感覚が現代の働く母には多いように思います。

 

 と、私なりに回答してみました。

 どうですか?他の働く母の皆さまは私の回答と不同意かもしれません。もしよろしかったら皆さんも3つの質問に答えてみませんか?


加筆(8月6日未明):

 質問1の回答について:避難者の移転先での自助努力をうたってはいるが、もちろんこれは母の問題とのみ考えるべきことではなく、家族の問題であり、出身地域と避難地の地域社会も、国を含むさまざまなレベルの行政がステイクホルダーとして存在していることには注意を払いたい。その上で、もし私が当事者だったらと言う視点で書いた。(ただ避難者を被支援者として福祉的に受け入れると言う観点ではなく、ホストとなる地域社会は人材として新しいメンバーを獲得しているのだと言う、受け入れ側の意識変革の可能性は謳いたかった)
 いずれにしても本当にさまざまな苦難の中で苦労している福島の人々のあり方を、観念論のレベルで取り上げるのは申し訳ないことであったと思っている。具体的な友人達の顔を思い浮かべながら。


 質問3について:鳩子さん自身がその後、紹介しているこの記事の中の

>「専業主婦VS働くママ」というような、無意味な対立構図で
>ワイドショー的に書き立てる記事をあまり見なくなった。
>正直、ちょっとホッとしている。

と言う記述の「あまり見なくなったワイドショー的な記事」的なものを私は鳩子さんの質問の中に見て、古い、と感じたのだが、鳩子さんはその私の感じ方を不本意と思われた模様。では鳩子さんの質問の真意はなんだったのか。今もって申し訳ないが私は読み取れていないようだ。すんません。

さて友人の働く母から寄せられたご意見をちょっこり紹介しておく。

Sさま
「女対女の構造への違和感」

Cちゃん
「専業主婦ってブラックボックスだなと思います。メデイアイメージとは隔絶した生活もあり、この層は現代日本のサバルタンかも…と思う。世代間の問題も、いる場所によって見える景色が違いすぎる」

Cさま
「自分ではないが専業主婦や非正規雇用への偏見をネット上で感じたことがある 」

Aさま「相手が気になる人は自分を認めて貰いたい事の裏返しでは?」

 

、、、てな感じでした。多様な年代の、専業主婦という選択をしたり、働く母という状態になったり その他さまざまな生き方をしている友だちを出来るだけ多くもって、具体的な実感を持ってそれぞれの生を許容出来るといいですね。今回の質問と回答大会が鳩子さんに多様な世界観を持つ人々との具体的な出会いの機会となりますように。


加筆(8月6日夕方):
鳩子さんに第3問の質問の意図を教えていただきました。
質問の真意は「マスコミの煽る専業主婦VSワーキングマザー(WM)の構図に飲み込まれず、距離を置いておくコツはなんですか?」

と言うことだったようです。
マスコミの煽りとそれを内面化するかはイコールな問題でないことがポイントですね。

で、それへの回答はちょっとA様案を参考にしつつ、「自分の生き方を肯定する(他人を蔑視する裏には自分への肯定感、是認されていると言う実感の欠如があると思います)」と自説から「気の合ういろんな立場のリアルな友人を持つ」とお応えしました。

まあ自分の生き方を肯定するのは難しい場面もあると思います。わたしも結構黒い思いにひきづられることもあります(あんまり表明しないけど、もったいないから)。

でも友達を作ることはできます。働く母の場合PTA参加はいろんな社会的立ち位置の友を持つ一つのきっかけになります。ぜひ仕事が忙しくって出来ません、とかソーシャルキャピタルのフリーライダー宣言なんてせず、働いててもできる職務や有給を上手に使って参加し、楽しみかつ友達をゲットするといいと思います。(このとき気のあわない人と無理には友だちにならないこと、その個人への嫌悪を専業主婦嫌悪に転化する恐れがあるので。結構な大人数で共同作業をするので気のあう人ってわりとできやすいです>PTA)で、「専業主婦って」、とか、「パートの主婦って」とか、ある塊で人をグルーピングしてなにごとかを語りたくなったら、具体的なその立場の友の顔を思い浮かべながら語ると、あんまりひどい言葉を選ばずに理性的な「語り」ができると思います。


「専業主婦」の観念的イメージにもし陥るとしたら、それは働くママ友としかリアルで接触を持ちにくい保育園時代の話ではないでしょうか。小学校に子どもが行くようになると、顔のない<観念の専業主婦>が目鼻を持って語りだしますので。


まあ突っ込みどころも満載でしたが、私には楽しい対話でした。お付き合いいただいた鳩子さんはじめ、Aさま、Sさま、Cちゃん、Cさま、ミクシのほうの友人の皆さん、ありがとうございました。またつぶやきをリツイートさせていただいたそこのあなた、帰国したら飲みましょう。


...



 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail Home