西方見聞録...マルコ

 

 

パンズ ラビリンス (ネタばれ注意!) - 2007年11月08日(木)

 パンズ・ラビリンス うーんなんかすごいものをみてしまった。
以下の文章はネタばれ満載です。そんでまだみてない人でこれから見る予定のある人は読まないでください。すごくお勧めの映画でございます。出来るだけ見て見て。そしてみる人はこの文章を読まないで。

私にお勧めくださったD様ありがとう〜











でここからネタばれ












1944年、スペイン。
山中で戦うゲリラとフランコ側の掃討軍が戦う陣営での一人の少女の死の物語。
虫けらのように、その短い人生に何の意味を持つこともゆるされず、ひっそりと死ぬ女の子が、ファンタジーに自らの死の意味、生の意味を仮託し、それに自ら納得して折り合って、死んでいく物語。客観的には。

主観的にはつまりその少女の死の際紡がれた「物語」はそれなりに美しい。しかしそれは現実の冷徹な死を受け入れるために紡がれたファンタジーなのだと思う。

この後スペインはフランコの国になり50万人の難民がピレネーを越えたと言う。その過程でいったい何万人の子どもが大人がむなしくその一生を終えたのだろう。 そして今もなおイラクでアフガニスタンでどれだけの子どもと大人が死んでいるのだろう。

その一つ一つの死にファンタジー、SF、もしくはホラーかもしれないが、その死を受け入れるための物語が死に行く子どもたちに寄り添ったのか。

まったく余談だが私の長女が主人公の少女とほぼ同じ発達具合の肉体を持っていて、少女の奮闘と死がどうしても私の長女の肉体感覚とダブり、映画を見ながら、特に後半、現実世界の厳しさが増すほどに、震えてたまらなかった。

理不尽な死を受け入れるためのファンタジーもSFもホラーもいらない時代を子どもたちが生きていくことを願わずにはいられない。せめてそういう「空想の世界」と幸福に別れを告げて、現実社会を歩んでいく年齢まで、生き延びて、子どもたち。




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