西方見聞録...マルコ

 

 

花さき山 - 2007年10月12日(金)

花さき山と言う絵本がある。貧しい農村の少女あやが山で出会った山姥に「その山に咲く一面の花は人が自分の我を抑えて<いいこと>をすると咲く花だ」と教えられる。そして、「そこに咲く赤い花は昨日祭りの赤いべべを作る権利を妹に譲ってやったお前の切ない我慢が咲かせた花だ」と言われると言う話。

 まあ誰かのためを思って我慢すること、の尊さを語ったちょっぴり説教臭のする絵本である。しかし10歳児と5歳児のマジ譲らないガチンコ勝負のさなかにこの物語を突然語りだしてどっちかに我慢を強いると言う特殊な状況下においてなかなか有用な物語ではある。

 たとえば今日の朝、トイレの使用をめぐっての1号さんとおKさんのガチンコバトルはトイレの中でのもみ合いにまで発展した。仕方がないので行動の遅いおKさんを抱いて引き離し1号さんに「最速で済まし!」と指示し「おKちゃんの方が先だったのに、1号もおかあちゃんもずるい!」と絶叫するおKに「おKちゃん、いまお姉ちゃんのためにがまんしたおKちゃんの花が花さき山で咲いてるよ。おKちゃんはほんとにえらいね〜」と心にもない褒め言葉であばれるおKを取り押さえつつ、しゃがんで、抱きしめる。泣きながらおKは「その花さき山のおKの花は何色なの?」と問うので「露を含んだ黄色だよ。きれいな花だね〜」と夢見るように語っているとさっさと用を済ませた1号が「ねえ、もう出たけど」とあきれた顔で見下ろしていた。

 ごめんなさい、名作絵本さん。


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