サー・イアン・マッケランは素敵だ! この映画を見ていると、性別というものがとても大雑把な区別のように見えてくる。 社会の中で普通に通用している常識ではとらえきれないタイプの生き方がある。 そういうことはこれまでも多く語られているし頭では知っているけれど、 この映画の中のサー・イアンはそれを体現しているように思う。 身のこなしや表情やしゃべり方。男でも女でもないが、とても魅力的なサー・イアンがいる。 私は彼の映画は『指輪』と『ゴールデンボーイ』とこの映画の三本しか見ていないので 彼がどこまで演じていて、どこまでが彼自身なのか、ということがまだわからない。 『ゴールデンボーイ』を見ていたときに、少し普通の映画とは違う感じがしたのだけれど その感じはこの映画にもあった。関係者にゲイがいるせいかしら?
映画については、重層構造になっていながら、程よい距離を保ちつつ、 感情に流されず、突き離さず、暖かく、最後まで作ってあるのが心地良かった。 怪物とは何だったのか?簡単に答えはでない。答えが必要なわけでもない。 ゲイであっても女性を拒否しているわけでないのも素敵。 ハンナが、文句を言いながらも、親身に世話をしてる様子がとてもいい。 最後に男の子を押しのけてキスをしているのに笑った。 ブーンとホエールの間には一瞬の共感があったが、道が交わることはない。 それでも共感と親近感はこの映画の救いになってないかしら? ハンナとホエールの間にあるものも。
ホエールのような生き方は不幸だろうか? ホエールを演じたサー・イアンの笑顔を見ていると、 不幸ではなかったと思えてくるのだった。
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