中学生の頃に確か一度読んだはずだけれど、すっかり中身は忘れていた。 トロルのところと、ゴクリの存在はおぼろげながら覚えている。 これを読んで、指輪物語の第一巻を図書館から借りて 1ヶ月も抱えていたのに、ついに最初の50ページほとが読めずに あの世界に入れなかった。そして今ごろはまっている。
『ホビットの冒険』はとてもよくできた物語だけれど、 串団子のように冒険が続く部分と、叙事詩的な五軍の戦の部分が ずいぶん趣きが違うように思った。 それは執筆当時の世界大戦という世相や、後に書かれた『指輪物語』への 構想が広がったということの影響だろうか。 子供向けのお話として終わるならば、ビルボが最後に調停役を果たして めでたしめでたしとした方がまとまりは良いように思う。 そこへゴブリンとの戦いと死人占い師という要素が入ってくる。 戦いが終わりめでたしめでたしとなっても、死んでしまった人たちは帰らない。 お話を聞いた子供達は、そのほうが、共感できたのだろうか?
ビルボもドワーフ族もエルフ族も、どこか頑固で、簡単に良い人に なったりしないところがおもしろかった。 だからこそ、最後の最後で本当に正しいことは何か本能的に 理解して行動するビルボの良さが際立ってくる。 ビルボ自身もものすごく立派というわけではないんだけど 大事なところははずさない。
ガンダルフは助けてくれるんだかなんだかわからない妙なポジションにいる。 肝心な時にいなくて、必要な時には戻ってきている。 そして、ちょっと用事があってな、とか言いながら、中つ国のどこかで 大事な仕事をしているらしい。 指輪の登場人物はほかはエルロンドが出てくるが、エージェントスミスのイメージが ちらついて笑ってしまった。ドワーフのバーリンに涙。
『ロード・オブ・ザ・リング』の冒頭部分と呼応しているところがたくさんあるので 今度映画を見るときにはまた違った味わい方ができるだろう。 ドラゴンの花火はどう考えても、竜のスマウグだし。 楽しかった。
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