実家に帰って、何も手伝わずに座敷の布団に寝っころがって 最後の二冊を読了しました。 冥王サウロンとは何者だったのか? それは生身の人物なのか? ということは明らかにはされないまま、クライマックスに至るまでの 戦いの激しさと旅の仲間達にふりかかる危機の大きさが フロドとサムの背負った重荷の大きさを読者に思い知らせます。 暗くて重い空気の中、時に絶望にとりつかれながら それでもなすべきことをなす彼らに 物語を越えてこころを寄せる人達がたくさんいる理由が 読んでいてわかりました。 暗闇の中に光るものはいっそう明るく、美しいものはさらに美しく、 平凡な日常はかけがえのない貴重なものとして、心に迫ってくるようでした。 最終巻の半ばで物語りはクライマックスを迎え、そのあとは 戦いの後の、旅の仲間のそれぞれについて、おだやかなエピローグが続きます。 激しい戦いの最中死んでいった人々も、丁重に弔われ、追悼の歌に歌われることによって 彼らの死は無駄ではなく、永遠の命を与えられる・・・ということが 疲れた読者の心にも染み透っていくようでした。 荒らされた故郷もやがて緑に包まれて、子供達の笑い声が響くようになる。 しかし、もうそこには住めない人もいる。 この長い物語も、作品の世界の歴史の中ではほんの一場面で、 物語に先立つ物語があり、物語のあとにも世界は続く。 そういう世界に遊ぶことができるということは なんて幸せなことでしょう!
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