【復活!】ダイエットなDIARY
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2002年06月18日(火) 怪傑

日本が負けたそうだが、そんなことはどうでもよろしい。







今日は大学での講義の後で某研究所での研究会へ出席した。


論題は「イスラム教と仏教との対話可能性」というものである。






イスラム教は昨年の同時テロ事件以来、非常に危険視されていて、また社会的な関心も高い。


キリスト教をベースに国家が成立してきた西洋社会や、日本のような仏教社会と、イスラム教国は分かり合うことができるのか、というような問題関心にたって催された研究会である。


今日の報告では、イスラム教の聖典である『コーラン』(正確には「クアルーン」と発音するらしい)の日本語への翻訳史が紹介されていた。



明治以降、日本で出版されたイスラム教を紹介した書籍や論文、または翻訳、解説書などが説明された。


その中に、すごいのがあった。









『怪傑マホメット』(井洌堂、1905年)







である。


著者は忽滑谷快天(ぬかりや・かいてん)という。
僧侶だったそうだ。








よ、読みたい・・・・・。
そそられまくりなタイトルである。








この「怪傑」というのは、しゃれではなく、イスラム教の教祖であり預言者であるマホメット(正確には「ムハンマド」)のことを、あくまでもまじめに紹介したものらしい。

しかも明治38年であるから、イスラム教を日本に紹介したごく初期のものである。


一体、どんな本なのか?









今、日本の大学図書館の横断検索ができるWEBCATで検索したところ、6つの大学図書館に所蔵されていることが分かった。





最近は大学の図書館であっても市民に解放しているところが多いから、貸し出しも可能かもしれない。








しかし、「怪傑」といえば、「ハリマオ」であり、「ズバット」である。

最近では「アンパンマン」なども「怪傑」らしいが、オレの中では、実写版「月光仮面」や「レインボーマン」のような、バイクにまたがり、マスクをつけた正義の味方が悪の秘密結社と戦っている・・・そんなマホメットのイメージがぐるぐると回っている(笑)。







それにしても「怪傑」って、そもそも一体どんな意味なのだろう?

『国語大辞典』(小学館)によると、以下のような意味であるらしい。




かい‐けつ【怪傑】

いっぷう変わっていてすぐれた人物。不思議な力を持った人物。






そして英語では、an extraordinary personであるらしい。



なるほど。

つまり、「常人ではない、また不思議な力を持ったすぐれた人物」ということで、ネガティヴな意味や、ましては活劇ヒーローのようなニュアンスはそもそもない言葉である。

むしろ、「傑出した人物」という誉め言葉なのである。




で、色々調べてみると、どうやら昭和初期まで、こうした世界史上の偉人や英雄などを紹介した本には「怪傑」のタイトルがつけられているものがあるらしい。


いくつかあげてみよう(笑)。





『怪傑星亨(ほしとおる)』
仙洞隠士/1901年。



『怪傑袁世凱(えんせいがい)』
関矢充郎/実業之日本社/1913年。




『怪傑内蔵助(くらのすけ) : 武士道の權化』
安場末喜/中興館書店/誠文堂書店/1917年。



『快傑張作霖(ちょうさくりん)』
園田一龜/中華堂/1922年。


『怪傑ムッソリーニ』
奥村毅/新興社/1928年。



『怪傑デカルト:哲学風雲録』
ディミトリ・ダヴィデンコ/工作舎/昭4発行




この「デカルト」とは、近代哲学の父であるデカルトのことであろうか?
それにしても、「哲学風雲禄」というのは一体どんな状況なのだろう(爆)。
「怪傑ゾロ」のように、悪者と戦っちゃいそうである。すごいぞ。デカルト!






今後は、これらを勝手に「怪傑本」と命名することにするが(笑)、ぜひどこかで復刻して欲しいものである。


もっともそんな度胸のある出版社は、いまどきないかもしれないが。


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