【復活!】ダイエットなDIARY
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寝違えたらしく、右側に振り返れない、とにです。
家人が日曜からいないのですっかり猫との二人暮しが板についてきた。
『モルグ街の殺人』(新潮文庫)を読んでいる。
もちろんエドガーもアランも出てこない。
二十面相も明智君も出てこない。
エドガー・アラン・ポゥである。
西欧大衆文学上、記念すべき史上初めての「探偵小説」である。
子供の頃に図書館でジュヴナイル化されたものを読んでいたが、大分、というかかなり印象が違う。
探偵役のデュパンも、その友人である語り手も、世の中に飽きた知識人と没落貴族のようなアンニュイなカンジだ。
パリでであった二人はフランスの郊外に家を借り、そこで隠遁的で瞑想的な世間とは隔絶した生活をする。
彼らにとっては人生が退屈なのである。
モルグ街で起こった残虐で謎に満ちた殺人事件に、主人公のデュパンは「退屈」だから解決に乗り出す。
正確に言えば、解決ではなく、謎の解明がしたいだけなのである。
あくまでも正義感とかは無縁だ。
謎が解けた時点で探偵は事件からまったく興味を失う。
こうした退廃的で倦怠感たっぷりの、アンニュイな部分は、当然のことながらジュヴナイルからはカットされていたのであろう。
今回のこの新潮文庫版はデュパン物の三つの短編を含む短編集だ。
デュパンはこの短編集に収められた三作にしか登場しない。
笠井潔が4作目を書いている。
『群衆の悪魔:デュパン第4の事件』(講談社文庫)である。
これを読むために、本家の3作を読んでいるのである。
とくにオチはない。
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