ニッキ ゆり 【HOME】
- 2004年05月27日(木)
「そんなに落ち込まなくたっていいよ。焦んなくてもいいよ。」
そのコトバを何度も頭の中でリピートした。
同期で入社した18歳の女の子。
店長よりも売り上げがよく、新入社員の中ではトップになっていた。
マネージャーから怒られる時、いつもその女の子と比べられていた。
その女の子が今日、ワタシのお店にやってきた。
「どうですかぁ?最近〜」とギャルっぽい話し方で近寄ってきて
最初、誰だかわからなかった。
あか抜けていて、たった2ヶ月しかたっていないのに
この変わりようにただただ驚くばかりだった。
ワタシはその女の子と話している内に、自分がどれだけ出来ていないのか
いろんなところで思い知らされて、どんどん落ち込んでいってしまった。
お店の立地条件によってお客さんの年齢層が違うのと同じで
買う量や売り上げがもちろん違うのはわかっている。
大型店なら接客をしなくても、軽く声をかけるだけで、どんどん買っていく。
それはもう面白いように売れると言う。
ワタシのお店は必死になって接客しないと売れないお店。
だけど、その分、他のお店の手伝いに行った時、自分の接客術が上がっていることに気がつける。
そう、逆に言えば、売り上げトップのその女の子がワタシのお店に手伝いに来た場合
大型店の接客をしていたらまったく売れないということ。
発想の転換。
落ち込むことなんて何にもないのだ。
お店が違えば接客のしかたも違うということ。
売り方が違えば、他のお店に行った時戸惑ってしまうけれど
毎日粘り強く必死に接客をしていれば、大型点に行った時は面白いように売れるということ。
店長は言った。
「うちの店でやっているように他のお店でやってごらん。
びっくりするくらい売れるから。ここは場所が悪いだけなのよ。」
来月、その女の子が働くお店へ手伝いへ行くことになっていて
ひどく戸惑っていたワタシに店長はそう言ってくれた。
「成長してるのは私が一番わかっているよ。」優しいコトバに涙が出そうになった。
働き出して、比べられることには大分慣れたけれど
実際に比べられていた女の子に会ってしまうと、ワタシ自身が駄目なように感じてしまった。
だけど、そんなことで駄目だなんて思うような仕事をワタシは毎日しているわけじゃない。
大丈夫よ。胸張って堂々と手伝いに行って来ればいいんだ。
「出来る人になるよ。」と言われ、半信半疑で毎日の仕事をしていた。
だけど、これでわかるんだ。
他のお店に行ったときの売り上げで自分がどれだけ成長したのかが。
どんなに頑張ったって結果でしか評価されない。
だったらやってやろうじゃん。
ワタシは出来るよ。
ミロードでのバイトの時、誰よりも売り上げて有頂天になっていたときのことを思い出した。
ほら、ワタシ大丈夫だよ。
「出来ない人ね」と言われ続けたマネージャーを見返してこよう。
ワタシは出来るよ。
声をかけたお客さんが「今度2次面接なんです。その時に着ていく服、選んでください。」と言ってきた。
2次面接?なんの面接だろうーなんてボケボケしていた。
面接に着ていく服=ワタシの会社
すっかり忘れていて、「あ!うちの会社?!」と大声で言ってしまった。
そういえば、去年の10月、必死になって新しい服を買いに行ってたっけ。
不安でいっぱいだった。
流行に乗ることに抵抗さえ感じていたあの頃のワタシとお客さんがかぶって見えて
今、どんな心境なのか、これからどんなことが待っているのか、いろいろと話をしてあげた。
そして、少ない予算の中で可愛いコーディネートを教えてあげた。
「大変ですか?」と何度も聞かれた。
「大変だけど、楽しいよ。」
大変じゃない仕事なんてない。
その中でどれだけ楽しみを見つけられるかが大事なんだと言いたかったけれど
それを言うにはまだ早すぎると思って言わないでいた。
「頑張ってね!来年は一緒に働こう!」そう言って見送りをした。
後輩が入ってくるのかぁ。
考えもしなかった。当たり前のことなのに。
ワタシは何を教えてあげられるんだろう。
今のワタシとどれくらい変わっているんだろう。
どれだけ出来るようになっているんだろう。
楽しみがひとつ増えた。
落ち込んだり励まされたり励ましたり。
短時間の中でいろんなことが起こって、頭がパンクしそうだった。
帰りに店長と2人で駅前のマックに言ってご飯を食べた。
この人の下で働くことに初めて喜びを感じた。
明日は魔法使いに会ってきます。
魔法をかけてもらいます。